・ほとんどの動物は人間に飼われると「小さく」なるが、ネコはヴァイキング時代から現代にかけてそのサイズを16%も「大きく」していた
・この要因の一つとしては、その時代からネコがエサにありつきやすくなり、栄養の質が向上したことが考えられる
・この結果はあくまでも「デンマークのネコ」における比較であり、世界基準で一般化できるものではない
多くの動物は、人間に飼いならされると小さくなります。イヌとオオカミを見てみれば分かるように、平均的なイヌのサイズは、ほぼ同じ遺伝子を持っているとされるオオカミと比べて、およそ「25%」も小さいと言われているのです。
しかし、こと「ネコ」に関しては、ヴァイキング時代におかしなことが起こっていました。なんとその時代に飼いならされたネコは、驚くほどにそのサイズを「大きく」していたのです。
Domestic cats (Felis catus) in Denmark have increased significantly in size since the Viking Age
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/21662282.2018.1546420?journalCode=rdja20
西暦200年までに、鉄器時代のデンマークではネコが飼われていました。この時代の人間の火葬場から、穴の空いたネコの足首の骨が見つかっているのです。当時の人々はその骨を「魔除け」として身に着けていたことが考えられます。そしてその後800年〜1050年にかけて栄えた農民であり、海賊としても知られるヴァイキングたちは、温かい毛皮や害虫対策のためにネコを飼ったとされています。
研究では、コペンハーゲン大学動物学博物館における過去の様々な時代のネコの化石と、デンマークにおける現代のネコのものとの比較作業を行いました。その結果、ネコはヴァイキング時代と現代との間に、平均して「16%」もそのサイズを大きくしていたことが明らかになったのです。
あくまでもこの比較は「デンマークのネコ」においてされたものであり、世界基準で一般化できるものではありません。しかし、1987年のドイツの研究には、この研究と同様に中世のネコのサイズが「現代よりも小さかった」とするものがあります。
この要因の一つとしては、この時代のネコは「エサにありつきやすかった」ことが考えられます。つまり、中世において街が拡大していく中で食べ物の残骸が増え、結果としてネコが摂取する栄養の質が向上していき、その体が大きくなっていった可能性があるのです。
「猫はヴァイキングの船によって世界に広がった」「猫はヴァイキング以降は遺伝的に変化なし」という説もあり、色々と猫の未来を運命付けたヴァイキング。ものすごいやり手の部族だったという噂もあるし、猫とは良好な仲を築いていたのでしょう。私たちも猫様の繁栄に一役買いたいものです。
reference: sciencemag / written by なかしー / edited by Nazology staff