2018年は激レア年。過去100年で2番目にクーデターが発生しない年だった

society 2019/01/01
Point
■2018年は過去100年間で2番目にクーデターが発生しなかった年だった
■2000年以降クーデターの発生率は減少傾向にあるが、南米やアジアと異なり、アフリカでは情勢の安定化にさらに年月を要する
■独裁色が強い国ほどクーデターによって民主化が後押しされる傾向がある一方、クーデターがさらなる政治不安を引き起こす悪循環も生まれる

あけましておめでとうございます。昨年の世界情勢を振り返ると、在トルコ・サウジアラビア領事館でのサウジアラビア人記者の殺害、トランプ政権による強行的外交政策など、穏やかではない出来事が盛りだくさんでした。

ですが実は、2018年は例年に比べてかなり安定した年だったということを知っていましたか?「過去100年でクーデターが発生しなかった2番目の年」だったのです。クーデターが発生しない年というのはそれほどレア。1950年以降、世界で起きたクーデターは463件で、そのうち233件が成功しました。

市民戦争、独裁政権による弾圧、経済成長の停滞の元になるクーデター。カエサルがローマ元老院に立ち向かうためルビコン川を渡り、ナポレオン軍が総裁政府を倒したはるか遠い昔から、政治にクーデターはつきものでした。

選挙、経済、紛争、指導者、政治などの指標をもとにクーデターの発生率を予測しているのが、One Earth Future Foundationという団体が運用するCoupCastプロジェクトです。過去のデータと機械学習を活用して、クーデターの発生リスクを月単位で公表しています。

南米・アジアは安定化の傾向

2000年以降、クーデターの発生率は世界的に減少傾向にありますが、すべての地域で均等に政治の安定化が進んでいるわけではありません。クーデターの発生件数が目に見えて減っている地域もあれば、そうでない地域もあります。

アルゼンチンやベネズエラなどの南米地域は、20世紀を代表する「クーデターの震源地」だったといっても過言ではありません。とはいえ、まったく進展がないわけではなく、1950年以降に南米で起きた142件のクーデターの策謀のうち、2000年以降に発生したものはわずか5件です。

かつてはアジア地域でも、頻繁にクーデターが発生しました。特に、タイやパキスタンでは、第二次世界大戦後の急激な民主化運動のあおりを受けて、強行的な政権交代が行われました。

ですが、1950年以降にアジア地域で起きた62件のクーデターのうち、2000年以降に発生したものは6件のみです。この広い地域に政治的な安定がもたらされたのは、冷戦後にアジア諸国と超大国が相互依存関係を構築してきたことの恩恵かもしれません。

当然ですが、独裁色が強い国ほど、クーデターによって民主化が後押しされる傾向があります。クーデターに成功し、政権を勝ち取った指導者は、自らの正当性を高め、経済成長を促すために、民主化を行うことがよくあります。

また、クーデターが失敗した場合、それが引き金となり、独裁権を持つ指導者が政治スタイルを改めることもあります。

アフリカはまだ年数が必要か…

一方でアフリカ地域では、2000年以降に策謀されたクーデターの件数は35件と、南米やアジアの安定化傾向には遠く及びません。その要因の一部は、貧困と、この地域が築いてきたクーデターの歴史です。

ナイジェリア、ガーナ、エチオピアなどの国々はここ数十年で目覚ましい経済成長を遂げましたが、アフリカ諸国の経済発展の度合いにはばらつきがあります

Credit : One Earth Future Foundation、クーデターの発生リスクが高い国(2018年12月)

アフリカ全体の貧困が減少したのは2000年に入ってからのこと。しかも「少し改善した」程度に過ぎません。貧困と抗議運動はしばしば、クーデターの引き金になります。

また「クーデターがさらなる政治不安を引き起こす」という負の連鎖も生み出します。2007年以降にクーデターが発生したアフリカの12ヶ国のうち、半数は複数回のクーデターを経験しました。

南米やアジアの国々がこの悪循環から抜け出すには、数十年の年月を要しました。アフリカ諸国が現状を脱出するにも、一定の年月が必要になるでしょう。

 

CoupCastは、2019年にアフリカで1件以上のクーデターが発生する確率を55.5パーセントと予測しています。昨年の予測が69パーセントだったこと、しかも実際にはアフリカを含む世界中で発生したクーデターが0件だったことを踏まえれば、見通しは明るいです。

一方で、2019年に世界のどこかで1件以上のクーデターの策謀が発生する確率は81パーセントとのこと。今年が「過去100年でクーデターが発生しなかった3番目の年」になるかどうかは定かではありませんが、世界中の人々にとって穏やかで明るい年になるよう祈っています。

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reference: theconversation  /  written by まりえってぃ

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