新技術を用いた「サステナブル卵」が発売。雄のひよこの「間引き」を排除

animals_plants 2019/01/03

Point
■孵化前の卵から性別を簡単に識別する技術が開発された
■レーザー光線で殻に開けた微細な穴から中の液体を採取し、ある化学物質と混ぜた時の色の変化で性別が分かる
■この技術を使えば、生きた雄のひよこに痛く怖い思いをさせずに済む

私たちが毎日のように口にする卵や鶏肉。これらの多くは、工場式畜産と呼ばれる食肉の大量生産システムの中で生産されています。

実はその過程で、雄のひよこが「間引き」される事実を知っていましたか?

卵を産むこともできなければ、与える餌のコストに見合うだけの速度で成長する経済性も持ち合わせていない雄。

彼らに待ち受けているのは残酷な死という現実です。窒息させられたり、生きたまま粉砕機に入れられたりといった方法で屠殺され、爬虫類の餌として利用されます。年間で世界中で屠殺される雄のひよこの数は、40〜60羽にも上ると推測されています。

この非道な「間引き」問題に終止符を打つブレイクスルーになるかもしれない世界初の技術が、ドイツで誕生しました。ドイツ国内でスーパーマーケット・チェーンを展開するReweグループが手掛けた「よりサステナブルな卵」の開発プロジェクト“Seleggt”(selectとeggを掛けた造語)により、孵化前の卵から性別を簡単に識別する方法が開発されたのです。

孵化前に卵の性別を判定

その新技術は、受精からわずか9日しか経っていない卵の性別を判別できるというもの。雄だと分かれば、卵の段階で動物の飼料に加工されます。孵化前に性別が判明することで、生きた雄のひよこに痛く怖い思いをさせずに済みます。

開発のきっかけは、プロジェクト・マネジャーのルドガー・ブレロー氏が、雌の卵に多く含まれるホルモンを探知する「化学マーカー」を開発した、ライプツィヒ大学のアルムト・アインスパニエル氏に話を持ちかけたこと。

この化学物質を受精9日目の卵から採取した液体に混ぜると、雄の場合は青く、雌の場合は白く変色します。言ってみれば、妊娠検査薬のようなものです。さらにその精度は、98.5パーセントとかなり高いものでした。

「簡単で正確でスピーディに」実用化への道のり

ですが、鶏舎の中で毎日手軽に使用できる方法を見つけることが次の課題でした。そこでブレロー氏は、オランダのHatchTech社にアプローチ。アインスパニエル氏が開発した検査を一貫して自動で行う装置の開発を依頼しました。

その条件は、簡単に使えて、拡張可能で、柔軟で、正確で、かつ衛生的であること。また、何と言ってもスピーディーさは不可欠。卵は孵卵器を2時間以上離れることができないからです。

そして最大の課題は、卵にダメージを与えることなく、どうやって中の液体をすばやく抜き取るかということでした。針を刺して中の液体を採取する方法では、卵が傷つくばかりか、衛生的にも問題があります。

そこで研究チームは、卵の殻にレーザー光線を照射し、直径0.33ミリメートルの穴を開けることを考えつきました。殻の外側から空気圧を与えると、開いた穴から中の液体が少量押し出されます。

処理に要する時間は、卵1個につきわずか1秒という速さです。試作を繰り返したところ、卵に指一本触れることなく、中の液体を採取することに成功。何の問題もなく、見事に性別を見分けることができました。

ついに店頭に並んだ卵!「生き物への敬意を」

こうして完成した卵には”Respeggt”のシールを誇らしげに携えて、今年11月にベルリン市内の店頭に並びました。”respect”(尊敬)と”egg”(卵)を掛け合わせたブランド名には、「生き物への敬意を忘れないように」という開発者の想いが詰まっています。

Reweグループは来年、ドイツ国内の全店舗でこの卵の取り扱いを開始したいと考えています。また2020年には、自社の鶏舎にこの技術を導入する計画です。ゆくゆくはヨーロッパ全体でこのビジネスモデルを展開したいと検討しています。”Respeggt”のお墨付きが付いた卵は一般的な卵より少し割高ですが、食や農業への意識が高いドイツ国民の心をがっちり捉えることが期待されます。

 

感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法を目指す「アニマルウェルフェア」の意識は、世界中で急速に高まりつつあります。その先駆けであるドイツの取り組みから学べることは、無限にありそうです。

「オーガニック野菜」が地球温暖化に悪影響を与えているかもしれない

referenced: theguardian, dailymail/  written by まりえってぃ

SHARE

TAG

animals_plantsの関連記事

RELATED ARTICLE