ゾンビの科学。人間は「生ける屍」として存在できるのか?

society 2019/01/03

■「ゾンビ」はいつ誕生したのか?

ウォーキング・デッドなどが流行をみせたように、私たちはどこか「ゾンビ」に魅了されるところがあります。この世界に実在していない、ある意味神秘的なその存在は、もともとどのようにして生まれたものなのでしょう?

ゾンビという概念が生まれたのは、17~18世紀にかけてのハイチにおいてです。当時フランス領であったハイチには、アフリカから多くの奴隷が運ばれました。過酷な労働によって死に絶えた多くの奴隷は、ブードゥー教の教えの中で「邪悪な行い」に取り憑かれた者として考えられ、それがゾンビの原型になったと考えられています。

■病気によって人がゾンビ化?

それでは、ゾンビは生命としては「死んでいる」のに、どうしてその体が機能しているのでしょうか。あなたがウォーキング・デッドのファンであれば分かるかもしれませんが、ウォーカー(ゾンビ)はニューロンが刺激されることで体が動き、食べ物だけを求めてさまよい歩きます。

私たちの誰もが、このようなことが現実で起こるわけがないと思っています。しかし、実際にこの世には患者をゾンビと似たような症状に変えてしまう病気が存在しているのです。

Klüver-Bucy (クリューヴァ・ビュシィ)症候群がその一つ。Zombie Research Societyにてアドバイザーを務めるボストン大学の神経病理学者ピーター・カミングス氏は、その病状に関して「奇妙な部分」がたくさんあるといいます。

患者は不適切なものを口に含もうとしたり、対象物を認識できなかったりするばかりでなく、認知症の症状も発症して暴力的になってしまうこともあるといいます。

カミングス氏は、問題の元凶は脳の「扁桃体」にあると語ります。扁桃体は生存本能や感情、記憶などを司るエリアであり、クリューヴァ・ビュシィ症候群においてはここに何らかの問題が発生していると考えられるとのことです。

カミングス氏は、映画やドラマで観るようなゾンビの存在を信じているわけではありません。つまり彼は、病気によって脳が侵され行動が制御できなくなることで、生きている人間がほとんど死体のようになってしまうことがあると説明しているのです。

■自然界にもゾンビがいる

それでは、視点を人間から他の動物へと移してみましょう。自然の世界にも「ゾンビ」は存在しています。

オフィオコルディケプス属の「寄生キノコ」は、昆虫の体に気づかれないように侵入して、数日の間に乗っ取ってしまいます。そしてその寄生した体を思うように動かし、コントロールしてしまうのです。以前ナゾロジーにおいても同様の例として、「クモをゾンビに変えるハードコアなハチ」を紹介しています。

カミングス氏は、ゾンビ作品の流行には「2つの要因」があると考えています。1つは、それが私たちの「パンデミックへの不安」を象徴しているとするものであり、もう1つは「人間そのものへの恐れ」を表しているといった点です。

今のところ、ゾンビ・アポカリプス(ゾンビによる世界の終末)は起こりそうにはありませんが、もし本当にそれが現実となったとき、最も恐ろしいのはゾンビではなく「人間」なのかもしれません。

クモを「ゾンビ」に変えてしまう新種のハチを発見! 研究者も「ハードコアだ…」とビビる案件

reference: globalnews / written by なかしー

SHARE

TAG

societyの関連記事

RELATED ARTICLE