psychology

ポジティブになれる「リフレーミング」は貧しい人ほど効果的であることが判明

2021.01.27 Wednesday

2018.12.27 Thursday

Point
■つらい出来事を「別の視点」からとらえる心理学的手法「リフレーミング」は、「貧しい人」ほどよく効くことが分かった
■低所得者層は、状況を変化させるための外的資源にアクセスしにくいため、コストのかからないこの手法と相性がいいことが考えられる
■どんな状況にもポジティブな側面を見出そうとする態度は「逃げ」につながるものであり、長期的な視点に立てば推奨されるものではない

心が不安定な時、皆さんは何をして落ち着かせますか?

そんな時、心理学者がよく提唱するテクニックが「リフレーミング」と呼ばれるもの。一言でいえば、ある出来事を「別の視点からとらえる」といったテクニックです。

たとえばあなたが恋人との「つらい別れ」を経験したときに、その出来事を「新たな趣味との出会いのきっかけ」と受け取るように努めるとき、あなたはリフレーミングによってポジティブな自分を取り戻そうとしているのです。

最近広く認知されるようになってきたこの手法ですが、果たして本当に効き目はあるのでしょうか?アメリカのノースウエスタン大学の研究者らが調査を実施しています。

Socioeconomic Status as a Moderator of the Link Between Reappraisal and
Anxiety: Laboratory-Based and Longitudinal Evidence
https://www.apa.org/pubs/journals/releases/emo-emo0000539.pdf

■リフレーミングは「条件付き」で効果的

結果からいえば、確かにリフレーミングには一定の効果がありました。しかし、そこにはある興味深い「条件」があったのです。

研究を進める中で判明したのは、リフレーミングは「貧しい人」にほど効果的であるということでした。逆に言えば、「裕福な人」には効きにくいということでもあります。

調査では、「年収35,000ドル(約390万円)」以上稼ぐ人は、リフレーミングによる恩恵はあまり受けられないという結果が出たのです。

その要因について、研究をおこなったクラウディア・ハーゼ教授は、「貧しい人々は、ストレスフルなシチュエーションを変化させるための外的資源にたどり着きにくいため、自分自身の中に(リフレーミングによって)そのきっかけを見出している可能性がある」と語っています。

次ページ■リフレーミングは「逃げ」につながる?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!