アポロの宇宙飛行士が「火星に人を送るなんて馬鹿げている」と発言 波紋を呼ぶ

space 2018/12/28
Point
・月を周回して戻ってきたアポロ8号の元宇宙飛行士ビル・アンダース氏がBBCで火星の有人ミッションについて「馬鹿げている」と発言
・科学的に重要な発見は無人機を送ることで、もっと安く効率的にできるというのが論拠
・アポロ8号の別の宇宙飛行士は、有人探査が重要であるという意見

未踏の地。この言葉が示すとおり、人間は古来より自分たちの足がついたり、少なくとも肉眼視したものがより重要であると信じてきました。

ところが、1人の宇宙飛行士が、それにアンチテーゼを投げかけ波紋を呼んでいます。

「火星探査は無人にすべき」

1968年のアポロ8号ミッションに搭乗したNASAの宇宙飛行士が、火星に人を送るミッションを追求することは、「馬鹿げている」し「笑われても仕方ない」ことに思えると、BBCのラジオ番組で述べました。

「(火星に人を送ることが)絶対に必要なの?火星へと突き動かしているのは何ですか?一般の人たちが興味を持ってるようには思えません」と述べているのは、50年前に月の軌道を回って地球に帰ってきた宇宙飛行士ビル・アンダース氏です。

アンダース氏は、NASAがもっと有効に時間と費用を費やせる仕事は多くあって、それは、火星の内部を調査するために降り立った無人のインサイトローバーのようなものであると主張しています。

このコメントは、未来の宇宙飛行が人の手によるミッションであるか、それともコストのかからない無人探査機によるものになるかといった、一般的な考えの違いを浮き彫りにしています。

アンダース氏の発言の核心を突き詰めると、NASAは大々的なミッションを達成することに傾斜し、悪循環に陥っているというのです。NASAのイメージを強化し、資金を改善し、優秀な人材を集める。そのための宣伝が肥大化するサイクルに陥っていると。

火星に人を送るというのもこういった悪循環の1つで、実際の科学知識の最前線を開拓する役には立ちそうにないと、アンダース氏は考えています。

この懐疑論によって、アンダース氏はNASAやスペースX、ブルーオリジンが計画している火星探査の展望への批評家に名を連ねたことになります。

このような批評家の極端な例として、科学の伝道者であるビル・ナイ氏は昨年、一般人は誰も火星に移住したいと思わないだろうと予想しています。ナイ氏はまた、先月にはさらに過激になって、火星のテラフォーミングを計画している人はドラッグでハイになっているに違いないとまで述べています。

一方、「有人探査」派の意見も

しかし、同様にアポロ8号に搭乗したフランク・ボーマン氏は、「人を送る探査は重要です」と述べ、彼らの意見に反対しています。「私は、ビルのようにはNASAに批判的ではありません。私は太陽系の確固とした探索を必要だと信じていますし、その探索の一部は有人探査によるものだと考えています」

しかし、ボーマン氏も探索と植民の間には線引を行っています。「火星については多くの誇張があると思っていて、それはナンセンスなものだと考えています。ある人たちは火星に植民地を作ると語っていますが、これはナンセンスです。」

 

火星に人類を送り込むことを目的とした非営利団体の「マーズワン」が2013年に希望者を募ったところ20万件の希望者が手を上げたことを考えても、世間的な関心がないとは思えません。NASAやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスも火星への有人ミッションによって一般人の関心を集めることには成功してるのではないかという印象も受けます。

個人的には、火星への挑戦で得られるであろう新技術などの利益は絶対あると思っていますが、火星に行きたいかと問われると、ちょっと考えてしまうのも事実です。今回のアンダース氏の発言がニュースになるのも、有人火星探査の話題性が高いことの裏返し。「馬鹿げている」と言われても、挑戦する価値はあるのではないでしょうか。

火星で長期的に住める「家」が発表される。自給自足も可能

reference: Futurism / written by SENPAI

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