宇宙を見上げるとき、どれくらい過去が見えているか?

space 2018/12/31

私たちの感覚が「過去」に縛られた「囚われの身」であることを、日常的に意識している人がどれほどいるでしょうか?

たとえば雷。実際に鳴ってから、その音が耳に届くのは数秒後です。私たちが聴いているのは過去の音です。

視覚もまた然り。光は秒速30万キロメートルで移動するため、3キロメートル先に見える雷の光は、0.1秒前のものです。

さらに遠くへ目を向けると、数秒前、数分前、数時間前、数年前…と「もっと遠い過去」を垣間見ることができます。望遠鏡を使えば、さらにはるか向こうの「太古の昔」を覗くことさえ可能です。

1秒前

まずは、もっとも身近な月。地球からもっとも近いこの星は、近いとは言っても38万キロメートルの距離に位置しています。月の光が地球に届くのに必要な時間は1.3秒。つまり、私たちが目にしているのは、月の現在の姿でなく、1.3秒前の姿です。

これは、月面にいる宇宙飛行士と宇宙管制センターの間で交される通信の様子からも伺うことができます。光と同じ速さで進む電波は、管制センターから発信されたメッセージが月に到着するまでには1.3秒が必要ですし、逆に宇宙飛行士が発信したメッセージが管制センターに届くまでにも同じ時間が必要です。

数分〜数時間前

月よりさらに遠くへ目を向けてみましょう。

太陽は、地球から約1億5千キロメートルの距離に位置するため、私たちの目に映っているのは約8分前の姿です。

地球の「ご近所」である金星や火星でさえ、地球から数千万キロメートルは離れているため、私たちは数分前の姿しか目にすることができません。地球に最接近する時の火星はおよそ3分前の姿、最も遠い時では20分以上も前の姿を目にしていることになります。

厄介なのは、火星探査機を地球から遠隔操作する時です。秒速1キロメートルで探査機が移動しているとしましょう。探査機は、地球から見える位置の、200メートル先を実際には動いているという「光のズレ」が生じます。つまり、ブレーキの指示を出したとしても、探査機はそこから200メートル先まで進むということです。もちろん、障害物との衝突を避けるためのコンピュータが探査機には内蔵されています。

また、土星は、地球に最接近する時でさえ、10億キロメートル以上の距離に存在します。これはつまり、私たちが現在目にしている土星の姿は、1時間以上前のものだということです。2017年、NASAの探査機カッシーニが土星の大気圏に突入して破壊された時、世界中の人々がその映像をテレビなどで目撃しましたが、実はその1時間以上も前にカッシーニは破壊されていたのです。

数年〜数百光年前

宇宙に存在する無数の星は、信じられないほど遠い距離にあります。その距離は、光が1年間で移動する距離、つまり「光年」という単位で表されます。1光年は約9兆キロメートルに相当します。

ケンタウルス座アルファ星は、地球から肉眼で見える地球から最短距離の星ですが、その距離は地球と太陽の距離の約27万倍に相当する4光年。つまり、地球から見える姿は4年前のものということになります。

さらに先へ進むと、地球から640光年離れた場所に、オリオン座ベテルギウスが存在します。もしベテルギウスが明日爆発したとしても、私たちがそのことを知るのは数世紀先のことになるでしょう。

肉眼で見える天体は他にもたくさんあります。アンドロメダ銀河やマゼラン星雲は、望遠鏡が無くても肉眼で十分に見える地球から比較的近い位置に存在する銀河です。地球から16万光年離れた大マゼラン雲に対し、アンドロメダ銀河は地球から250万光年の距離に位置。現生人類が地球上を歩き始めたのが約30万年前のことであることを思えば、それは無限とも呼べるほどの距離です。

さらに前

さらに宇宙の奥へ足を踏み入れてみましょう。

おとめ座に位置する「3C 273」は、極めて明るい光を放つ天体です。その輝きは1つの銀河全体よりも明るいほどですが、地球からは25億光年も離れているため、可視光の1,000分の1にしか達しません。ですが、20センチメートル口径の天体望遠鏡を使えば、その姿を捉えることができます。

さらに大きい天体望遠鏡を使えば、もっと遠くを見ることができます。1.5メートル口径の天体望遠鏡には、120億光年も離れたやまねこ座の「Quasar APM 08279+5255」が「かすかな点」として映ります。地球が45億年前、宇宙が138億年前に誕生したことを踏まえると、この星の光を目にすることは、宇宙の生涯をそっくり丸ごと遡った太古の光を見ていることに他なりません。

 

夜空を見上げる時は、宇宙の現在の姿ではなく、かつての姿を見ているのだということをぜひ思い出してください。さあ、はるか彼方の過去への時間旅行の始まりです。

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reference: theconversation /  written by まりえってぃ

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