心の不安は「ゾンビ細胞」を取り除くと改善するという研究

biology 2019/01/28

Point
・「ゾンビ細胞」を脳から取り除くと不安が軽くなり肥満が改善する可能性
・脳の細胞が老化し増加しなくなったものが「ゾンビ細胞」
・マウスでゾンビ細胞を取り除くと不安が軽くなり活動が増加
・人でも肥満や老化とうつが関連

「ゾンビ細胞」を脳から取り除くと不安が軽くなり、活動が増えて肥満が改善する可能性があることがわかりました。研究はニューカッスル大学の研究グループにより、2019年1月に雑誌「Cell Metabolism」で発表されています。

Obesity-Induced Cellular Senescence Drives Anxiety and Impairs Neurogenesis
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413118307459

以前より、肥満と不安やうつなどの精神疾患が関連することは知られていました。たとえば肥満は、全身のいろんな臓器に炎症を起こすことで、メタボリック症候群を発症します。このことから、神経にも炎症を起こしてうつ病を発症するという報告がありますが、詳しいメカニズムは解明されていませんでした。

今回、肥満マウスの脳を調べた結果、ある領域に「ゾンビ細胞」が増えていることがわかりました。ゾンビ細胞が増えた領域は脳の中でもストレス反応にかかわるところだったため、ここでゾンビ細胞が増えたことにより不安を引き起こしていたのです。またゾンビ細胞が脂質を貯め込むこともわかりました。

Credit:sciencedirect

ゾンビ細胞とは増殖しなくなった細胞のことで、老化細胞ともいわれて骨粗鬆症など加齢でみられる現象にかかわっています。肥満によりマウスの脳細胞に老化が起きたものがゾンビ細胞なのです。

さらにマウスにゾンビ細胞を取り除く薬を投与するとゾンビ細胞が消えて正常な細胞が増え始め、不安が軽くなることがわかりました。不安が軽くなったマウスは広い場所に出られるようになり運動するようになりました。運動を続ければ肥満も改善されることが考えられます。

今回のマウスの研究で肥満、うつ、老化が関連することがわかりましたが、人でも同じようなことがわかっています。国立精神・神経医療研究センターによる調査結果から、BMIや運動習慣などがうつ病と関連することが雑誌「Journal of Psychiatric Research」で報告されています。また老化を防ぐといわれる抗酸化物質「エルゴチオネイン」に抗うつ作用のあることが金沢大学の研究グループにより雑誌「Cellular Signalling」で報告されています。

 

不安やうつ症状はどうやって治せばよいのか、その方向性もこれまではわかっていませんでした。しかし今回の研究によりゾンビ細胞へのアプローチという新しい道が示されたといえます。研究が進んで、映画「アイ・アム・レジェンド」のようにゾンビをやっつける薬を見つけてくれるヒーローが現れてくれるといいですね。

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via: sciencealert / written by かどや

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