自閉症診断が出生時の「聴音テスト」で可能に

life 2019/01/13
Point
■新生児に聴覚テストをおこなうことで「自閉症」であるかどうかを診断できる
■これまで自閉症の判断は、主に子どもの発話能力を対象としていたため、新生児には適用できなかった
■新生児の神経系は可塑的で変化するため、早期の発見がその後の症状の悪化を防ぐことにつながる

子どもが「自閉症」かどうかという問題は、本人だけでなく家族やさらに広範囲の人々を巻き込むものです。

自閉症スペクトラム障害(ASD=autism spectrum disorder)」を患う人は、脳機能の変異によって、他者とのコミュニケーションや社会的交流に支障が生じてしまうことがあります。さらに、ASD症状の発見は、会話能力や身体的なふるまいから判断されるため、生後早くとも2~4年の月日が必要とされていました。

しかし、アメリカのペンシルベニア州にある「レコン(LECOM=Lake Erie College of Osteopathic Medicine)」のランディ・クレツァ・Jr氏の研究によって、出生時に「聴覚反応のテスト」をおこなうことで子どもが「自閉症」であるか否かを判断することが可能であると判明したのです。

Structural and Functional Aberrations of the Auditory Brainstem in Autism Spectrum Disorder
http://jaoa.org/article.aspx?articleid=2720605

ポイントは「中耳」の筋収縮

自閉症患者に、聴覚機能における何らかの障害が見られることは以前からも知られていました。たとえば、中耳の音響反応は、私たちが発話するときや大きな音を聞くときに意志とは関係なく働きます。これは、中耳の筋肉を収縮させることで、騒音などによりデリケートな内耳が傷つかないようにするためです。

自閉症患者は、この中耳の筋収縮が困難であるので、私たちにとっては比較的小さな音にも過敏に反応してしまいます。また、聴覚に障害が見られると、自分の声にも敏感になってしまい、その後の発話能力の成長を妨害する原因となるのです。

「早期発見」には大きなメリットがある

こうした自閉症診断の大半は、子どもの「会話能力」を試験する方法を採っているので、症状の発見には出生から少なくとも数年はかかります。この現況に対してクレツァ氏は、「新生児の神経組織はまだ柔軟で可塑性があるため、早期の発見によって欠陥部位を鍛え、症状の進行を防ぐことができる」と語り、早期発見の重要性を説いています。

つまり、自閉症の発見が遅れてしまえば、その分対処も遅れてしまい、症状は大きく進行してしまうのです。しかし、今回クレツァ氏が発見した方法は、中耳に様々な周波数の音を与えることで筋肉反応を確認するものであるため、すべての新生児を対象とすることができます。また、この聴覚テストは身体に無害なもので、乳児の健康を阻害することなく実施が可能であるとのことです。

クレツァ氏は、「今回の発見に基づいて、医師たちは音に焦点をしぼった対処法を模索するべきだ」と語ります。例えば、子どもが特定の音に怖がったり、敏感に反応するようであれば、医師や保護者はその音を遮断するように努めることが求められます。

つまり、唐突に発話教育を始めるのではなく、まずは「音への反応」を見極めることが重要となります。すなわち、聴覚を適切にトレーニングすることが、成長にともなう言語機能の向上の土台となっていくのです。

クレツァ氏は、今後この聴覚テストが世界中の新生児すべてに実施されることを目標として、さらなる研究に勤しんでいます。

 

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reference: dailymail, independent / translated & text by くらのすけ

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