モアイ像の近くに水源があることを発見!モアイ像“最大の謎“の一つに迫る

history_archeology 2019/01/12
Photograph: Alamy
Point
■モアイ像は真水が湧き出る水源の近くに作られていることが判明
■飲料水となる真水に近い場所に建設されていることから、モアイ像は共同体の人々の生活と密接に結びついたものであった可能性が高い
■イースター島では、地下の真水が帯水層を通って、海岸の岸壁や内陸部の洞窟から染み出すという現象が見られる

水あるところにモアイあり。

チリ本土から3700キロメートル離れたイースター島に連なるモアイ像群。その謎は、数世紀にわたって世界中の探検家の心を惹きつけてきました。

今回、その中でも最大の謎の一つである「モアイ像がなぜその場所に作られたのか?」という疑問に風穴を開ける研究が発表されました。研究は1月10日付けで「PLOS ONE」に掲載されています。

Rapa Nui (Easter Island) monument (ahu) locations explained by freshwater sources
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0210409

「モアイ像=儀式を行う場所」ではない?

米ビンガムトン大学のカール・リポ教授らは、多くのモアイ像が立つ島の西側のアフと呼ばれる高台が位置する場所93ヶ所と、島に点在する岩・土・農作物・魚・水などの資源を供給している場所の関連を分析しました。

その結果、モアイ像が真水が湧き出る水源の近くに多いことが判明。巨大建造物の建設には、量・質ともに満たされた水源が不可欠なことを考慮すれば、至極納得です。

リポ教授は、モアイ像がある高台自体が「奇妙な儀式 」を行うためのものというわけではないのではと考えています。モアイ像はむしろ、共同体で暮らす人々の日々の営みと密接に結びついたもので、「象徴的な意味における儀式」を表していたに過ぎなかったのかもしれません。

イースター島には300以上のアフが存在し、最古のものは13世紀に作られたと推測されていますが、これらはそれぞれ異なる共同体によって建造された可能性があります。多くが海岸周辺に見られる一方で、中には内陸部に作られたものも。モアイ像は祖先を象徴し、共同体の団結を高めるための儀式に関連しているもののようです。

リポ教授らの分析ではまず、工具や像の材料として用いられたであろう岩が豊富に採れる岩場は、高台の場所と関係ないことが分かりました。そこで、サツマイモなどの農作物が育つ石混じりの畑、魚が採れる場所、真水が流れる場所を調べることにしました。

「像の建設を巡って共同体同士が競争していた」

リポ教授は、島民たちがどこから飲料水を得ているかを調査しているうちに、どうやら水に関係がありそうだと予測。島内には定常流(時間が経過しても流れが変化しない流れ)の河川は存在せず、島民が湖の水を飲料水として用いているという証拠はほぼありません。

ですがこの島では、地下の真水が帯水層を通って、海岸の岸壁から染み出すという現象が見られます。潮が引くと同時に、岸壁の岩肌のあらゆる場所から、真水が勢いよく放出されている様子は壮観です。島民が塩水混じりの水を飲み、井戸を掘って飲料水を得ていたという記録も残されています。

海岸沿いだけでなく内陸部にもアフが作られた理由は、内陸部にも真水が染み出す洞窟があるためです。古い井戸の発見もこのことを裏付けています。リポ教授は、水源とモアイ像の関連性を体験的に確信しました。「真水が大量に流れている場所には、必ずと言っていいほどモアイ像が立っていた」と、リポ教授は実感を語っています。

さらに今回の発見は、像の建設を巡って共同体同士が交流や競争を行っていたという説に重みを持たせています。モアイ像は、他の共同体に向けて自らの共同体の優位性や競争力を見せつけるための手段だったのかもしれません。乏しい資源を巡り、時には死につながるような激しい決闘が行われていたという説は、これで説得力を失います。

共同体と協力体制は、像の建設に欠かすことができないものでした。人々が一丸にまとまる力が強いほど、共同体の力は増し、生存できる確率は高くなるのです。

研究チームは現在、モアイ像の大きさを含むさまざまな特性が水源の質と関連しているかどうかを調査中です。モアイ像が島民の日々の生活により深く繋がったものだったとは興味深いですね。リポ教授らの今後の研究に期待しましょう。

reference: theguardian / translated & text by まりえってぃ

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