楽しいことを「思い出す」だけでうつ症状に効果がある

psychology 2019/01/19

Point
■「楽しいこと」を多く思い出すほど、つらい出来事から立ち直る「レジリエンス(回復力)」が鍛えられることが明らかになった
■レジリエンスは、私たちが生まれながらに持っているものではないため、自ら築き上げ、改善していくことが重要である
■ 西洋の子どものおよそ半数が、うつを引き起こしてしまうストレスフルな体験をしているため、大人のサポートが必要不可欠である

ケンブリッジ大学の研究者らが10代を対象とした研究において、「楽しかったこと」を思い出すと精神的なショックから立ち直る回復力が鍛えられ、後の人生においても「うつ」の症状を予防することができると明かしています。

A Systematic Review of Amenable Resilience Factors That Moderate and/or Mediate the Relationship Between Childhood Adversity and Mental Health in Young People

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2018.00230/full

「幸せ探し」がレジリエンスを高める

研究者らは、1990年代に収集された427名の若者たちのメンタルヘルスに関するデータを再分析することで、この結論に達しました。参加者の平均年齢は14歳でしたが、すべての者がそのバックグラウンドから、「うつ」のリスクにさらされているとされていました。

参加者は実験の中で、直近のネガティブなイベントについての質問に答えたり、「幸せ」な瞬間を思い出すことを求められました。また、参加者はコルチゾールによってストレスレベルを測定するために、全員朝に唾液のサンプルを提出しています。

そうして集められたデータを総合することで、研究者らは「幸せな瞬間」をより多く思い出せた参加者ほど、ネガティブな思考が少なく、コルチゾールのレベルも低かったことを突き止めました。楽しかったことを思い出すといった行為が、うつに対するレジリエンス(回復力)を高めたことが考えられるのです。

レジリエンスは自分で育てるもの

研究チームの一員である Anne-Laura van Harmelen 博士は、「レジリエンスは、あなたが生まれながらに持っているものではないと知っておくことが重要です。それはあなたが築き上げ、学習し、改善させていけるものなのです」と語っています。

研究によれば、西洋の子どもたちのおよそ半数が、「うつ」を引き起こすリスクを高めてしまうストレスフルなライフイベントを経験しているとのことです。虐待、いじめ、貧困、近親者の死などがそれに当たります。

つらい経験をしてきた子どもに「楽しいことを思い出せ」と主張するのも少し抵抗がありますが、若いうちから精神的な問題に対するレジリエンスを高めておくことが重要であることを考えれば、少々無理やりであっても大人が「楽しいこと」を思い出すサポートをしてあげることは非常に大事な行為といえるのかもしれません。

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reference: theguardian / written by なかしー

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