ついに「家庭用冷凍庫の温度」で高温超伝導に成功!ただし鬼の圧力が必要

science_technology 2019/01/16

Point
■超伝導の達成温度の記録が-13℃(260K)にまで高まり、室温に近づく
■実験は水素化ランタンを使って、180-200ギガパスカルの高圧下で行われた
■高温超伝導体を使って研究することで、今後より高い温度での超伝導の達成が期待される

高温超伝導の記録が、ついに現実的な温度にまで高まりました。

その温度はなんと-13℃、家庭用冷凍庫でも余裕で達成できる温度です。これは、以前本サイトで紹介した高温超伝導の記録である-23℃をさらに塗り替えたものです。

研究はジョージ・ワシントン大学のグループによって行なわれ、1月14日付けで、査読のある論文誌「Physical Review Letters」で正式に発表されています。

Evidence for Superconductivity above 260 K in Lanthanum Superhydride at Megabar Pressures
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.122.027001

必要なのは200万気圧の“鬼圧力”

超伝導とは、導体の電気抵抗がゼロになる現象です。通常の超伝導物質では、-180℃程度の極低温にまで下げる必要があるため、応用範囲は限られていました。しかし電気抵抗がなくなれば、発電や電気の利用、伝達において究極の効率化が可能になり、より強力なコンピューターを生み出すこともできるようになります。

ただしこの高温超電導を達成するには、ある厳しい条件があります。およそ200万気圧という、途方もない圧力が必要となるのです。

研究では、ランタンと水素の微小サンプルにダイヤモンドアンビルセルで高圧をかけています。その状態で温度を上げていくと、新たな構造体LaH10ができました。これは、高温での超電導が事前に予測されていた構造体です。

また、このサンプルに高圧をかけた状態で、電気的な性質の変化を観測し再現することにも成功。電気抵抗の有意な低下を-13℃(260K)、180-200ギガパスカルで観測し、室温近くでの高温超伝導の証拠を得ることに成功したのです。

さらなる高温も達成?実用化につなげる技術が課題

さらにその後の実験では、さらに高い温度である7℃での電気抵抗の変化を観察しており、また、実験を通してX線回析を使った結晶の構造解析も行っています。回析に使ったのはアドバンスド・フォトン・ソースのシンクロトロン・ビームラインです。

今回使ったのはレアアースのランタンと水素ですが、水素を多く含む化学物質は他にも多く存在するため、より高い温度で超伝導を起こす材料が見つかる可能性もあるといいます。

研究者たちは現在、アドバンスド・フォトン・ソースのビームラインに実験的な有用性を加えるための改良を行っています。また、他の場所では、今回の超伝導物質の重要なパラメーターを測る予定とのこと。将来的には、超伝導現象に隠れている物理学を理解することが目標で、その理解を多くの応用のために活かしたいと思っています。

 

家庭用冷凍庫程度の温度で超伝導が達成されたと聞くと、超伝導が身近なものになったと感じられます。しかし、それにかかっている圧力が鬼レベルの高さなので、まだ応用段階にはないといえるでしょう。ただ、室温に近い高温下での超伝導体が実際に存在し、研究できるというのは大きなアドバンテージ。理解が深まることで、常温常圧の超伝導に少しずつ近づいていけるでしょう。今後の展開が楽しみです。

「-23℃」の高温超電導を達成! 夢の常温超電導に一歩近づく

reference:Science Daily  / written by SENPAI

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