緑藻に「第3の目」を発見

biology 2019/01/18
Credit: Eva Laura von der Heyde / 新しい光受容体が発見された藻類
Point
■緑藻類に、3つ目となる光受容体分子「2c-Cyclop」の存在が確認される
■2c-CyclopはcGMP合成酵素活性を持っているが、光の刺激によってこの活性が抑制される
■2c-Cyclopは光遺伝学のツールとして利用できる

緑藻に新たな光センサー分子が見つかりました。緑藻で発見された光センサー分子はこれで3つ目ですが、なんとこの分子の挙動、ちょうど人間の目で起こるのと同じ反応を示すとのこと。まさに「第3の目」です。

また、研究者たちが見つけた新たな光センサーは、新しい光受容体が、光によって活性化されるのではなく「抑えられる」という驚くべき性質を持っていることが判明。発見はビーレフェルト大学とネーゲル教授の強力によって行われ、「BMC Biology」で発表されています。

Two-component cyclase opsins of green algae are ATP-dependent and light-inhibited guanylyl cyclases
https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-018-0613-5

地上の植物同様、緑藻はエネルギー源として太陽光を使います。多くの緑藻は水中で活発に動き、光によっていくことも離れていくこともできます。それを可能にするために、緑藻は光を感知する特殊なセンサーを使っているのです。

この光センサーの探索には数十年もの長い年月が費やされ、初めて成功したのは2002年になってから。マックスプランク研究所のゲオルグ・ネーゲルと共同研究者たちが、藻類の中に2つのチャンネルロドプシンを発見。これらのイオンチャンネルは光を吸収して開き、イオンを通過させます。

一方、今回発見された新しい光受容体は、グアニル酸シクラーゼという酵素としての働きを持ち、重要なメッセンジャー物質である環状グアノシン一リン酸(cGMP)を合成します。光にさらされると、cGMPの生産は著しく減少し、それに伴ってcGMP濃度も減少します。

そしてこれと同じ現象は、実は人の目の中でも起こっているのです。

光遺伝学の新しいツールへ

この新しい光受容体は、光によって調節されるだけでなくATPによっても調節を受けます。このように、2つの性質が組み合わされた「二成分制御系」は細菌では一般的ですが、より進化した生物では珍しいものです。そのため、研究者たちはこの光受容体を「2c-Cyclop」と名付けました。二成分シクラーゼオプシンを略したものです。この2c-Dyclopを二種類の緑藻、単細胞のクラミドモナスと多細胞のボルボックスで見つけています。

発見の最初の手がかりは、ゲノム情報にありました。ゲノムデータから、緑藻にはそれまでに発見されている二種類のロドプシン以外にも光センサー分子が存在することがわかっていたのです。クラミドモナスには12種類のオプシンに分類されるアミノ酸配列が見つかっています。

しかし、今回の研究に至るまでに、それが実際に機能するのかどうかは確かめられてはいませんでした。研究では、新しいロドプシンをアフリカツメガエルの卵細胞とボルボックスへと導入して機能するのかを確かめました。そして、いずれの場合でもこの光センサーが機能することがわかったのです。

研究者たちは今回見つかった2c-Cyclopが光遺伝学の新しいツールになると考えています。光遺伝学では、光によるシグナルで生体の組織や器官の活性をコントロールすることができます。光遺伝学によって、細胞の多くの基本的な生体機能が明らかになってきているのです。たとえば、パーキンソン病などの神経疾患の仕組みも、光遺伝学によって明らかにされています。

 

第3の目といっても邪気眼がうずくわけではありませんが、単純に見える藻類にも、光を感知する仕組みが複数あるようです。また、研究のツールとしても使え、秘められた能力を持つ目であるとも言えます。2c-Cyclopを光遺伝学のツールとして使うことによって、cGMPをシグナル分子として使う生命現象の解明が進むでしょう。

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reference: Science Daily / written by SENPAI

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