ピリっと剥がれる鳥の羽根でマジックテープより賢い「ファスナー」ができるかも

technology 2019/01/19
Credit:UNIVERSITY OF CALIFORNIA SAN DIEGO
Point
■鳥の羽根の裂けて、またくっつくという仕組みを応用すれば、マジックテープよりも高性能な接着具を作ることができるかもしれない
■鳥の羽毛部分は、「羽枝」という細い線の羅列でできており、さらに一本の「羽枝」に細かなフック型の「小羽枝」が生えている
■「小羽枝」のおかげで、裂けた羽根は再びくっつくことができ、また「8〜16マイクロメートル」という一定の間隔が接着を強固にする

道端によく落ちているのを見かける鳥の羽根。子どもの頃、羽根を拾って上画像のようにパリッと裂いてみたことがある人も多いのではないでしょうか。

さらにこの避けた羽根、馴染むように撫でてやると、元通りくっつくことを知っていましたか?

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、この接着機能には鳥の羽根に特有の「小羽枝」と呼ばれる細かな繊維同士が絡まることで可能だと指摘しています。これをうまく応用すれば、マジックテープよりも高性能な「ファスナー」が誕生するかもしれません。研究の詳細は、1月16日付けで「Science Advances 」上に掲載されています。

Scaling of bird wings and feathers for efficient flight
http://advances.sciencemag.org/content/5/1/eaat4269

主任研究員のタラ・サリバン氏は、3Dプリンター機能を使って鳥の羽根を立体的に再現し、その構造を子細に分析しました。まず、一枚の羽根全体は「正羽」と呼ばれています。そして、真ん中のストロー型にまっすぐ伸びている棒状の部分が「羽軸」で、「羽軸」の両サイドに斜め方向に広がっている扇状の羽毛部分が「羽弁」です。

手で裂くことができるのはこの「羽弁」部分。乾燥した糊づけ部分をパリパリッと裂くような感触で、なかなか中毒性のある心地よさです。さらに、「羽弁」をよく見てみると、細い線が隣同士にくっつきあっているのが分かります。この線の一本一本を「羽枝」と呼びます。

これは自分の手を使ってみれば容易に思い描くことができます。親指から小指まで5本の指がありますね。それぞれの指が一本の「羽枝」だとします。今度は、それらをお互いにくっつけてみて下さい。すると、チョップ型のまとまりができます。それが、鳥の「羽弁」部分です。

Credit:UNIVERSITY OF CALIFORNIA SAN DIEGO

そこから人さし指と中指を分けると、羽根のパリッと裂ける感じに近くなります。ただ、これだけでは羽根の再粘着の構造を理解したことにはなりません。ここから、さらに避けた一本一本の「羽枝」をよく観察すると、非常に細かな繊維がたくさん付着しているのです。この部分を「小羽枝」と言い、柔らかい質感なのですが先端はフック状になっています。そして「小羽枝」は、相互に絡まることで元どおりくっつく役割を果たしているのです。

要するに、一本の指の両側からさらに小さな指が、斜め上を向いて生えており、隣の指とくっつけるとその間にある無数の小さな指が噛み合うという仕組みなっているわけです。

また、サリバン氏によると、「小羽枝」同士の間隔は、空を飛ぶ鳥なら種類を問わず、すべて8〜16マイクロメートルに収まっているとのこと。そして、同士は「この一定の間隔こそが小羽枝の絡みつきをより強固にしているのだ」と指摘しています。この緻密な羽根の構造のおかげで、鳥たちは枝に引っかかったり、喧嘩したりして裂けた「羽弁」を元どおり繕い直すことができるのです。

この仕組みを活用してさらに発展させれば、マジックテープのように面同士をくっつけるのではなく、直線的でスマートなテーピングが可能になるかも。それはさながら、チャックなしのファスナーのようなもので、指でスーとなぞるだけで縫い目もなくしっかりとくっつくのです。

 

もしかすると、SF映画などでよく見かける未来の服にチャックがないのは、鳥の羽根を応用した成果かもしれませんね。

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reference: eurekalert / written & text by くらのすけ

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