未知の生態?! ほぼ酸素ゼロの深海で魚の群れが発見される

animals_plants 2019/01/21
Credit: MBARI / 酸素濃度が非常に低いエリアで泳いでいた「cusk eels」
Point
■カリフォルニア湾深海の「ほとんど酸素がないエリア」で「魚の群れ」が生息していることが確認された
■そのエリアの酸素濃度は、通常の低酸素濃度を許容する魚が生きていける濃度の「10分の1~14分の1」であった
■ そのエリアに生息していた種の体の作りには共通点があり、その構造が極限状態での繁栄に一役買っていることが考えられる

動物の暮らしにとって欠かすことのできないはずの「酸素」ですが、スクリップス海洋研究所の大学院生であるナターリャ・ガロ氏率いる研究により、ほぼ酸素が存在していないカリフォルニア湾の深海で泳ぐ「魚の群れ」が発見されました。

Home sweet suboxic home: remarkable hypoxia tolerance in two demersal fish species in the Gulf of California
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ecy.2539

圧倒的な低酸素濃度

研究者たちが水中探査ロボットを用いて深海を探索していたところ、ある魚群を発見。その群れが栄えていたのは、他の多くの魚にとっては絶望的に酸素が足りていない場所でした。

2015年に、ガロ氏をはじめとした10人の研究者らは、カリフォルニア湾の海盆での連続ダイブを実施しました。使用されたのはMBARI(モントレー湾水族館研究所)における最新鋭のリモート操作式ロボット「Doc Ricketts」です。カリフォルニア湾の深海は、世界で有数の「低酸素エリア」として知られています。

ロボットに搭載されたカメラは、そのエリアで「cusk eels」、「lollipop sharks」などといった種の魚をとらえました。低い酸素濃度でも生きていける魚は他にもいますが、この環境はそうした魚が許容する酸素濃度のわずか「10分の1~14分の1」ほどの酸素しか存在していないのです。

研究に参加したMBARIの生物学者ジム・バリー氏は、「酸素が少ない条件下でも生息可能な魚はたくさんいます。しかし、この魚たちはそうしたグループにおけるエリートであり、オリンピック・アスリートのような存在であるといえるでしょう」と語っています。

なぜ「極限エリア」で生きていけるのか?

なぜ魚たちがそのような厳しい条件下において繁栄することができるのか、詳しいことは分かっていません。しかし「cusk eels」と「lollipop sharks」の両者が「鮮やかな赤いえら」を含んだ大きな頭の持ち主であり、それがわずかな酸素を吸収するために一役買っていることが考えられます。

さらに、それらの魚は体長が「30センチメートル以下」と小さく、柔らかくて弱々しい体を細く脆い骨が支えています。こうした特徴もすべて、彼らが無駄なエネルギーを浪費しないように設計されていると考えられるのです。

また、彼らがこのような極限の環境に住み着いた理由としては、「食べ物を探す」ため、あるいは「捕食者から逃れるため」といったものが考えられます。いくつかの低酸素エリアにおいて、研究者たちはカタツムリやヒトデやウミエラが海底にいることを確認しましたが、この「最も酸素濃度が低いエリア」の海底はまるで荒廃した月面のようであり、どんな小さな無脊椎動物でさえも生息は難しいことが分かります。

バリー氏は、「またすぐにカリフォルニア湾へと戻り、そうした疑問の解決に取り組みたい」と語り、さらなる研究に対して意欲を燃やしています。

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reference: phys.org / written by なかしー

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