天敵が来ると卵の中でも「息をひそめる」モンゴウイカの赤ちゃんがスゴイ

animals_plants 2019/01/23
Credit: Monterey Bay Aquarium / モンゴウイカの赤ちゃん
Point
■モンゴウイカの胚が、天敵が近くにいることが分かると呼吸数を下げ、敵に気づかれないよう努めることが判明
■無脊椎動物が、脊椎動物と同じように子宮内で学習することを示す初めての証拠
■トラブルを連想させる墨を使い、本来敵ではない生物に反応するようにモンゴウイカの胚に教え込むことが可能

卵の殻に閉じこもり、守ってくれる両親が近くに居ない時、赤ちゃんには天敵から自らの身を守るすべがほとんどありません。

ところが、モンゴウイカの赤ちゃんは例外のようです。天敵が近くにいることが分かると、卵から孵化する前であっても、息を止めるなどして敵に気づかれないよう努めることが明らかになりました。これは、無脊椎動物が、ヒトなどの脊椎動物と同じように子宮内で学習することを示す初めての例です。

このことを発見したのは、フランスのカーン大学と台湾の国立清華大学の共同チーム。モンゴウイカの胚が光などの刺激に反応することから、こうした刺激を元に胚が危険を認識し、反応している可能性を探ろうと考えました。

Awareness of danger inside the egg? Evidence of innate and learned predator recognition in cuttlefish embryo.
https://www.biorxiv.org/content/biorxiv/early/2018/12/31/508853.full.pdf

天敵が近づくと呼吸数が減少

モンゴウイカの父親は射精後すぐに死亡するため、卵の世話は母親が単独で行います。自然の厳しさは容赦無く、卵の殻は孵化する数日前になると透明に変化します。まるで「ここにいるよ」と敵に向かって教えているようなもので、危なっかしいことこの上ありません。この状況下で、彼らにできることは、ただ息を潜め、じっとして、危険が去るのを待つことのみです。

研究チームは、孵化前の卵を透明な容器に入れ、それをモンゴウイカの天敵であるフグを入れた水槽の中に浸しました。すると、じっと固まって気配を消そうとするかのように、卵の呼吸数が明らかに減少しました。

また、水槽の中にモンゴウイカの墨を入れた時も、同じ現象が起きました。大人のモンゴウイカは、仲間がトラブルを避ける時に墨を吐くことを知っているため、このことを母親の胎内で胚が学んだとしても不思議ではありません。

胎教?!天敵への反応は「教育」も可能

こうした反応が本当に天敵の存在によるものかを確かめるため、研究チームは卵を入れた容器をクマノミが入った水槽の中に浸す比較実験も行いました。クマノミはモンゴウイカの敵ではありません。その結果、卵の呼吸数はほとんど変化しないことが判明。モンゴウイカの卵が、天敵だけが現れた時にのみ息を潜めることが分かったのです。

さらに興味深いことに、クマノミと墨を組み合わせることで、本来敵ではない生物に反応するようにモンゴウイカの胚を「教育」できることも明らかになりました。モンゴウイカの卵をクマノミと墨の両方に4日間晒し続けた結果、クマノミ単体の姿が目に入ったり、その匂いがしたりするだけで、呼吸数が減少するようになったのです。モンゴウイカの卵は、友達のクマノミをすっかり恐れるようになってしまいました…。

 

つるんとした半透明の卵に包まれたその可愛らしい姿からは想像もできないような知恵を備えたモンゴウイカの赤ちゃん。おそるべし、胎教の威力です。

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reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

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