ミュージシャンの「あうんの呼吸」とは何なのか? 非言語コミュニケーションを可視化する研究

culture 2019/01/22
Credit: LIVELab, McMaster University / 演奏をする「Gryphon Trio」
Point
■ミュージシャンは互いに「他の演奏者の動き」を予測することで、感情豊かな表現を可能にしている
■「喜び」や「悲しみ」などの感情を大きく表現するパートで、演奏者は互いの動きを非常によく予測していることが分かった
■今回の研究における技術は医療などの現場で「話すことできない患者」などの非言語コミュニケーションに応用できる可能性がある

演奏中に「せーの!」とは言えない音楽家たちですが、しっかりと息の合った演奏を観客に届けることに成功しています。いったい彼らはどのように息を合わせているのでしょうか?

そうしたバンドやオーケストラにおいてみられる「阿吽の呼吸」を可視化する試みが、マクマスター大学の研究者らが開発した新技術においてなされています。

Body sway reflects joint emotional expression in music ensemble performance

https://www.nature.com/articles/s41598-018-36358-4

仲間の演奏を聴いた後では遅すぎる

「Scientific Reports」に掲載されたその研究は、ミュージシャンが「1つのユニット」としてどのように動きをシンクロさせているのかについて、新たな知見を与えてれるものです。

研究をおこなったラウレル・トレイナー氏は、「表現豊かな息の合った演奏は、他の演奏者の次の動きを予測し、それに沿った形で同じ感情を表現するための動きができるかどうかにかかっています。仲間の演奏を聴いた後に動いているようでは遅すぎるのです」と語っています。

研究は著名なアンサンブル・アーティストである「Gryphon Trio」の協力を得ておこなわれました。演奏者には動きを追うためにモーションキャプチャー・マーカーを装着してもらい、楽しい曲や悲しい曲の一部を演奏してもらいました。演奏者がどの程度他の演奏者の動きを予測しているのかについては、数学的な技術が用いられています。

「感情」を表現するパートで息が合う

実験の結果、彼らが「喜び」や「悲しみ」などを感情豊かに表現していたときには、「感情を表に出さないパート」と比べてお互いの動きの大部分を予測していたことが明らかになりました。

研究を率いたアンドリュー・チャン氏は、「演奏中の動きを詳細に分析するこの方法により、ミュージシャン間の感情によるコミュニケーションを測定することが可能になりました」と述べています。

研究者らは、この新たな技術が他のシチュエーションにも応用できることを示唆しています。たとえば医療などの現場においてこの技術を用いることで、話すことできない患者と、その家族や介護者とのコミュニケーションをより円滑にしてくれることが考えられます。

楽器を弾くとき、脳で何が起こっているのか? 「演奏する」ことの驚くべきメリット

reference: phys.org / written by なかしー

SHARE

TAG

cultureの関連記事

RELATED ARTICLE