やっぱり否定されちゃうの?第9惑星がなくても太陽系外縁天体の軌道は説明できるかも

space 2019/01/22
Credit: Tom Ruen
Point
■太陽系外縁天体の準惑星には軌道が逸脱したものがあり、偏ってクラスターを作っていて、それを説明するために第9惑星が提唱されている
■あらたにシミュレーションモデルを作って、カイパーベルトのデブリディスクにも質量などのパラメータを与えた所、偏ったクラスターを説明できることがわかる
■観測による裏付けが無いため、第9惑星の存在については未だ謎のままである

奇妙な偏りを見せる、海王星外側の太陽系外縁天体(TNO)軌道。

これを説明するために、これまで質量の大きな第9惑星が存在すると仮定されていました。そんな夢とロマンがつまった第9惑星の発見がずっと期待されているのですが、なかなか見つかりません。ついには、第9惑星がなくても小さな天体の集団による重力で説明できるという説も出てきてしまいました。

今回の研究は、この「この第9惑星などなかった説」をさらに強力に支持、偏った軌道をも説明できるものとなっています。研究はケンブリッジ大学とベイルート・アメリカン大学で行われ、「Astronomical Journal」で発表される予定です。現在は「arXiv」で読むことができます。

Shepherding in a Self-Gravitating Disk of Trans-Neptunian Objects
https://arxiv.org/abs/1804.06859v2

「そこに何かがある」第9惑星が提唱された背景

初めて第9惑星の間接的証拠が発表されたのは、2016年。カイパーベルトの複数の準惑星の軌道が、他の天体から大きく逸脱しているのがわかりました。この逸脱は太陽系の巨大ガス巨星によるものですが、これらの準惑星の軌道はクラスターを作っていていました。その分散はランダムなものではなく、まるで何かに引っ張られているかのようです。それを説明するため、まだ見つかっていない巨大な惑星「第9惑星」がモデル化されたのです。

しかし、第9惑星の発見は技術的にも難題であり、存在しない可能性もあります。そこで、研究者たちは、第9惑星がなくても外縁軌道に多量にあると推測される小天体だけで、偏った軌道を説明できるのではと考えました。

巨大なディスクと重力を仮定、軌道を説明したが…

研究では、逸脱したTNOのモデルを太陽系の他の惑星や、カイパーベルトのデブリによる巨大なディスクを含めて作成。ディスクの質量や、変わった動き、方向などの諸要素を微調節することで、逸脱したTNOのクラスター化した偏った軌道を作ることに成功しました。

昨年のコロラド大学ボルダー校で行われた同様の研究では、TNOの逸脱については説明できていましたが、一つの方向に偏ってクラスター化することは説明できていませんでした。

しかし、この2つの研究には、他の問題があります。カイパーベルトによる集団的な重力が少なくとも地球の数倍必要となることです。現在の観測による推定では、カイパーベルトの全質量は地球の4から10%しかありません。

結局、大質量を持つディスクの存在は観測によって証明されていないのですが、それは第9惑星についても同じことが言えます。よって、どちらが正しいのかは現時点では何ともいえません。また、カイパーベルトのディスクによる影響と、第9惑星による影響の両方が関わっている可能性もあります。

 

何かの不在を証明するのは、とても難しいもの。というわけで、どちらが正しいのかを調べるためにはさらなる観測が必要となりそうです。一方で、カイパーベルトのデブリの詳しい質量の見積もりをとることも必要となるでしょう。

「第9惑星」の存在を示唆する「ゴブリン惑星」を発見 

reference: Science Alert / written by SENPAI

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