祖先がストレスまみれだと免疫力がアップするという研究

animals_plants 2019/01/22

Point
■「高ストレス環境」に生きた祖先を持つトカゲは、そうでないトカゲよりも優れた免疫機能を持つことが分かった
■この結果はトカゲだけでなく、人間を含む他のあらゆる動物にも当てはまる可能性がある
■ストレス要因が「継続的」な場合は、ストレス要因そのものから遠ざかるよりも免疫機能を向上させることのほうが得策である

ペンシルベニア州立大学の研究者らがトカゲを用いた研究において、「頻繁にストレス要因にさらされた祖先」を持つ場合に、その個体のストレスへの免疫が高まることを明らかにしました。

Population history with invasive predators predicts innate immune function response to early life glucocorticoid exposure

http://jeb.biologists.org/content/early/2019/01/17/jeb.188359

トカゲだけではない

研究者らが実験で用いたのは「fence lizards (Sceloporus undulatus)」と呼ばれるトカゲです。実験の中で、「低ストレス環境に生息していた祖先」を持つ個体と「高ストレス環境に生息していた祖先」を持つ個体を、継続的なストレス環境にさらして比較したところ、前者の免疫機能が抑制されていたのに対し、後者は「強固な免疫システム」を機能させていたことが分かったのです。

研究を行なったトレイシー・ランキルド教授によると、今回は「トカゲ」での実験でしたが、この結果は「人間」を含む他の動物においても同様のことがいえる可能性があるとのことです。もちろん動物によってストレス要因が異なることも、研究者たちは理解しています。

長い目で見たときの生存戦略

今回の実験に用いたトカゲにとっての天敵は「ヒアリ(fire ants, Solenopsis invicta)」です。ヒアリはトカゲに噛みつき、体内に毒物を注入します。それが場合によっては致命的なダメージとなるため、トカゲにとってヒアリは大きな「ストレス要因」です。

そのような環境において、免疫機能を抑制してしまうことはトカゲにとっていいアイデアではありません。ヒアリの攻撃への免疫を高めておかないことには生存の可能性が低下してしまいます。つまり、こうした因果から「ヒアリが多く生息したエリアで暮らした祖先」を持つトカゲは、ストレス要因への免疫反応が優れているといえるのです。

 

ストレス下において、動物は通常致命的なダメージを避けるための行動をとります。それはたとえば、「捕食者から逃げる」といったことであり、「免疫力の向上」など喫緊の課題でないものは後回しにされます。しかしそれは、ストレス要因が「継続的に続く」場合には得策ではありません。大きなストレスにさらされた祖先はそのことを分かっており、子孫に対して「大きな遺産」を残してくれているのです。この時期でもまったくインフルエンザや風邪にならない人は、もしかしたら祖先がストレスまみれだったのかも…。

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reference: phys.org / written by なかしー

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