■オスのヤドカリは、交配中に自分の殻を盗まれないように身につけながら交配するため、陰茎が伸びた
■ヤドカリは、殻内部を改築する習性があり、殻を大幅にリフォームする個体ほど、陰茎が大きいことが判明
■さらに、殻を身につけないヤシガニは、陰茎のサイズが全体長のわずか2割以下であることが分かった
ヤドカリは、自分の柔らかい体を外部から守るために、適度な殻を探し出し、それを身につけて移動式の自宅にする習性があります。ただ、オスのヤドカリはパートナーと交配する際、自宅から外出する必要があるため、その間に別のヤドカリに自宅を盗まれる危険性がありました。
こうした盗難の危機を防ぐため、オスのヤドカリは、殻から出なくても交配できるよう、なんと自らの陰茎を伸ばしていたのです。研究の詳細は、1月16日付けで「Royal Society Interface」誌に掲載されています。
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.181760
ヤドカリは殻が命。手段は選ばない
ニューハンプシャー州にあるダートマス大学の生物学者マーク・レードル氏は、自身が発表したこの説について「プライベート保護のための大事な部分(private parts for private property)」と名付けています。
レードル氏によると、ヤドカリにとって殻を選ぶことは、自らの命にも関わるほど重大なことです。殻は、ヤドカリの傷つきやすい体を外敵から守るというのはもちろん、体表面の乾燥を防ぐという目的もあります。体の乾燥は24時間がリミットであるため、殻探しは急を要する作業です。
そのため、自分に合った殻を見つけるためには、手段を選ばず、仲間の殻を盗んだり、ときには殻をかけて互いに殺し合うことも辞さないのです。また、ヤドカリは殻を見つけるだけでなく、着心地が良くなるように殻の内部を改築する習性があります。中には、数ヶ月もかけて劇的リフォームしてしまうビフォーアフターなヤドカリもいるようです。