ヤドカリのアレが大きくなるのは「盗難」防止のためだった

animals_plants 2019/01/28
Credit:arstechnica
Point
■オスのヤドカリは、交配中に自分の殻を盗まれないように身につけながら交配するため、陰茎が伸びた
■ヤドカリは、殻内部を改築する習性があり、殻を大幅にリフォームする個体ほど、陰茎が大きいことが判明
■さらに、殻を身につけないヤシガニは、陰茎のサイズが全体長のわずか2割以下であることが分かった

ヤドカリは、自分の柔らかい体を外部から守るために、適度な殻を探し出し、それを身につけて移動式の自宅にする習性があります。ただ、オスのヤドカリはパートナーと交配する際、自宅から外出する必要があるため、その間に別のヤドカリに自宅を盗まれる危険性がありました。

こうした盗難の危機を防ぐため、オスのヤドカリは、殻から出なくても交配できるよう、なんと自らの陰茎を伸ばしていたのです。研究の詳細は、1月16日付けで「Royal Society Interface」誌に掲載されています。

Private parts for private property: evolution of penis size with more valuable, easily stolen shells
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.181760

ヤドカリは殻が命。手段は選ばない

ニューハンプシャー州にあるダートマス大学の生物学者マーク・レードル氏は、自身が発表したこの説について「プライベート保護のための大事な部分(private parts for private property)」と名付けています。

レードル氏によると、ヤドカリにとって殻を選ぶことは、自らの命にも関わるほど重大なことです。殻は、ヤドカリの傷つきやすい体を外敵から守るというのはもちろん、体表面の乾燥を防ぐという目的もあります。体の乾燥は24時間がリミットであるため、殻探しは急を要する作業です。

そのため、自分に合った殻を見つけるためには、手段を選ばず、仲間の殻を盗んだり、ときには殻をかけて互いに殺し合うことも辞さないのです。また、ヤドカリは殻を見つけるだけでなく、着心地が良くなるように殻の内部を改築する習性があります。中には、数ヶ月もかけて劇的リフォームしてしまうビフォーアフターなヤドカリもいるようです。

Credit:arstechnica/右の殻がリフォーム後のもの

交配中でも大丈夫!ヤドカリの生存戦略

ここまで時間と手間をかけた殻ですから、盗まれたら大変です。特に隙が多く危険なのは、なんといってもメスとの交配中。

しかしヤドカリのオスは、自らの陰茎を伸ばすことで、殻を手足でしっかりと掴んだままパートナーと交配することができます。そうすると、交配中でも他の個体に殻を盗まれる心配がなくなるわけです。

レードル氏は「この説が正しければ、陰茎の長大化は、自宅となる殻を大改築した個体に見られるはずだ」と指摘。なぜなら、陰茎が大きくなることで、殻内部もその分広くする必要があるからです。

大改築した殻ほどアレがでかい

これを証明するために、同氏は、液浸保存されているヤドカリおよそ数百匹の陰茎を調査しました。さらに、ヤドカリ全体を「殻を大改築する種」「少し改築する種」「まったく改築しない種」に分類。カリパスという測定器具を使って陰茎の長さ・大きさを測り、体長に占める陰茎サイズの比率を割り出しました。

Credit:arstechnica

すると、殻を大改築することで知られる「Coenobita compressus種」の陰茎は、全体長のおよそ6割、少し改築する「Coenobita perlatus種」は全体の5割、そしてほとんど改築しない「Coenobita clypeatus種」ではわずか3割しかありませんでした。

さらに、レードル氏は、地上に生息する「ヤシガニ(coconut crab)」を調査。ヤシガニは発育期だけ殻を身につけ、大人になったら殻を脱ぎ捨てることで知られています。すると、驚くことにヤシガニのサイズ比率は、全体長の2割以下しかないことが判明しました。

 

要するに、ヤシガニは、交配中の自宅盗難を心配するあまり、自分の大事な部分が伸びたというわけなのです。それにしても盗難を気にしない「でかい」心(?)をもつヤシガニのアレが一番小さいなんて…。なんとも皮肉な世の中です。

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reference: arstechnica / written & text by くらのすけ

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