宇宙の形成初期、どのように大質量ブラックホールができたのか?

space 2019/01/26

Point
■ビッグバンから8億年後の初期の宇宙において、すでに超大質量ブラックホールがあったことが観測によりわかっている
■スーパーコンピュータを使った長期のシミュレーションによって、暗黒物質ハローの重力によって大質量ブラックホールが形成されることが示される
■恒星の形成を妨害する放射によらない、新しい大質量ブラックホール形成メカニズムが示されたことになる

宇宙の極初期に生まれた大質量ブラックホールの周囲で放出された光はとても明るいため、遠い宇宙の距離を超えて望遠鏡で見ることができます。信じられないことですが、最も遠くにあるブラックホールからの光は130億光年もの距離から届いているのです。

しかし、この様な巨大ブラックホールが、初期宇宙でどのように生まれたのかはわかっていません。

ジョージア工科大学を中心にした研究チームが、銀河が非常に急速に作られていた時期に、超大質量ブラックホールが生まれたことが示しました。これらの希少な銀河においては、通常の星の形成は妨げられ、代わりにブラックホールが形成されていました。シミュレーションによって行われた研究の成果は、1月23日付けで「Nature」に発表されています。

Formation of massive black holes in rapidly growing pre-galactic gas clouds
https://www.nature.com/articles/s41586-019-0873-4

暗黒物質ハローの重力で形成?

新たな研究によると、大質量ブラックホールは星がなく密度が高い領域で、急速に成長したと言います。これは、大質量ブラックホールの形成が、付近の銀河からの強力な放射線による爆撃を受けている領域に限られていたとするこれまでの説を覆すことになります。このことから、超大質量ブラックホールが形成される環境は、今まで考えられていたよりも広く行き渡っていたことになります。

新たなシミュレーションによると、大質量ブラックホールは、暗黒物質の集まったハローにおいて形成されました。物質が非常に集中する、稀な領域に大質量ブラックホールはできるのです。ブラックホールが形成される領域が明らかになったとき、研究者たちは困惑しました。これまでの説だと、大質量ブラックホールが形成されるのは、近くの天体から高いレベルの放射がもたらされる領域に限られるとされていたからです。強い放射は恒星の形成を妨げ、ブラックホールの形成を促します。

新しい大質量ブラックホール形成メカニズム

今回の発見を詳しく調査すると、ブラックホールが形成される領域は急速に成長していました。この急速で苛烈な成長が銀河の基盤を激しく衝突させ、通常の恒星が形成されるのを妨げていたのです。それによって、ブラックホールの成長に適した環境が生まれました。

研究で使われたシミュレーションは、Renaissance Simulationのセットを元に作られており、70テラバイトのデータセットを使って、Blue Watersスーパーコンピュータ上で2011年から2014年にかけて走らせています。大質量ブラックホールが生み出される特殊な領域をもっと詳しく調べるために、シミュレーションのデータを精査し、その質量からは星の形成が予測されるのに、濃いガス雲しか存在しない暗黒物質ハローを10個見つけました。そのうち2,400光年の広さのある2つについて、Stampede2スーパーコンピュータを使って、高解像度で再びシミュレーションを行ったのです。

2つの候補領域の高解像度シミュレーションによって、ガスや物質の塊の嵐と流入がブラックホールの前段階として表され、濃縮しながら回転をはじめることが示されました。その成長速度は凄まじいものでした。観測されたビッグバンから8億年後の太陽質量の十億倍ある超大質量ブラックホールは、このようにしてできたものだと考えられます。

この研究が面白いのは、ブラックホールを生んだハローが今まで信じられていたよりもずっと一般的であるかもしれないことです。今回のシナリオが、多くの観測されている超大質量ブラックホールの起源で有り得るのです。

今後の研究では、生まれた超大質量ブラックホールの銀河への進化が調べられます。また、大質量ブラックホールが現在どこにあるのか、あるいは、局部銀河郡や重力波によって実際の証拠が得られるのかが課題となります。

今回のシミュレーションによって得られたデータは、アーカイブとして共有され別の視点による研究を促すことになるでしょう。

 

今回シミュレーションで発見された方法で、超大質量ブラックホールができたとすれば、中間質量のブラックホールがほとんど見つからないのも納得できます。観測による実証が必要ですが、もし本当だとすれば宇宙の謎が一つ解き明かされたことになるのです。

ブラックホールのホーキング放射を実験室で確認!

reference: EurekAlert! / written by SENPAI

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