女性が男性より競争に弱いとされる理由

psychology 2018/02/09
Credit: Pixabay

トップレベルの職業において、女性の地位や賃金が男性に比べて低いのは、女性と男性で競争に対する反応が違うため、など性による行動の違いで説明されることが多いです。しかし、チェスのゲームを男女間の違いで解析する研究によって、女性が競争に弱いのは相手が男性の場合だけであることがわかりました。つまり、競争そのものが不得意と言うわけでないのです。それは男性が女性よりも競争に強いとするステレオタイプが引き起こす社会的な要因なのかもしれません。

以前の研究では、男性が女性よりも競争において優れたパフォーマンスを示すことや、女性が競争に対して乗り気ではないことが示されてきました。しかし、その理由についてはわかっていません。果たして女性のこうして性質は、女性に備わった本質的なものなのでしょうか

その謎を解き明かす方法として、チェスの試合結果が使われました。チェスの試合では男女共に平等な条件で戦います。また、膨大なデータが利用可能です。試合の結果だけではなく、その指し手や性別、プレイヤーのランクに関するデータもあります。プレイヤーのランクはEloポイントとして表され、その値が高いほど強いプレイヤーと言うことになります。

チェスの世界は男性優位の世界でもあります。男女混合の国際大会で、女性の割合は11%に過ぎず、グランドマスターはたった2%で、上位100人のトッププレイヤーのなかに女性はただ一人です。女性がチェスをする能力に関して、本来的に劣っているとする偏見も根強くあります。しかし、チェスにおいて男性が本質的に優れているとという説得力のある証拠もないのです。

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最新の論文の中で研究者たちは、世界のトップチェスプレイヤー5%のデータを用いました。最初の研究の結果は予想どおりのものでした。女性プレイヤーは、同じくらいの実力を持つ男性プレイヤーよりも成績が悪かったのです。次に対戦相手の性別によって勝率がどうなるのか調べたところ、女性プレイヤー同士の試合では勝率が50%だったのに比べて、相手が男性になると46%にまで落ちました。これはEloポイントでは30ほどの差があります。

女性が男性と戦うと弱くなる理由を見つけるため、その指し手を詳しく解析しました。チェスチャンピオンよりも高いレベル(Elo ポイント3000以上)で設定されたコンピューターの最善手と比較してどれだけミスを犯したのかを調べたのです。すると女性は、男性と対峙した時に、よりミスを犯すことがわかりました。一方男性は相手の性別に関係なく同じパフォーマンスを示したのです。

男性同士の試合と女性同士の試合の間には質的な違いはありませんでした。ただ、男性と対戦するという時にだけ問題が生じるのです。この結果は固定観念の脅威理論によって説明されます。この理論は、否定的な固定観念の対象となっている集団が、それを避けようとしたり、あるいは、ただそれに気づくことで感じる心配によって、その固定観念を実現してしまうというもの。チェスの世界でいえば、男性の方が優っているというのがこの固定観念でしょう。

つまり、女性が男性よりも勝負に弱いのは、強力な固定観念によるプレッシャーで本来の力が発揮できないからなのです。

おそらく世界は、このような固定観念にあふれています。まずは自分の中にある固定観念を自覚することが、よりよいパフォーマンスの発揮につながるでしょう。

 

via: World Economic Forum/ translated & text by Nazology staff

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