生き物が「後ろ向きに」進化することはあるのか?

biology 2019/01/29

生き物は進化しますが、常に「前向きに」進化するとは限りません。「後ろ向きに」進化、つまり退化することもあります。

そもそも、退化という概念は、進化に方向があるという前提に基づいています。ですが実際は、進化は進行方向を持ちません。自然選択は単に、生き物を環境に適応させるだけです。このため、環境が変化すれば、何が有益かも変わります。進化とは、あらかじめ定められた方向へ進むものではないのです。

たとえば、ペンギン。彼らは羽を失ったため、「退化」した生物の例として考えることも可能でしょう。

ですが問題は、その考えが「空を飛ぶことこそが進化が目指す終着点である」という誤った想定に、本質的に基づいていることです。ペンギンの遠い祖先である始祖鳥にとって、飛ぶことは有益で、生殖適応度の最大化を助けたため、その能力が選択されました。

これに対して、極寒の地域に暮らし、海中の魚や甲殻類を餌にするペンギンにとっては、飛ぶことよりも、脂肪を蓄えて太っていることの方が重要です。このため、自然選択は、飛行よりも寒冷地での生存に適した特性を選びました。その意味で、ペンギンは「退化」したとは言えません。彼らは、単に新しい環境に適応したに過ぎず、結果的にかつて役に立っていた「空を飛ぶ」という特性をたまたま失くしただけなのです。

また、ヒトの尾もそうです。ヒトの祖先のサルには尾がありましたが、自然選択の過程で、ヒトに繋がる系統では尾が次第に小さくなり、ヒトにおいては外見的には消失しました。このことを「ヒトの尾は退化した」と表現しますが、それは木々を伝って移動する必要がなくなったために、尾が役に立たなくなったからです。

このように、過去に重要な役割を果たしていた複雑な特性が失われることもありますが、それを単に「退化」と見なし、「後ろ向きに」退行していると考えることは考えものです。進化は、自らがすべき仕事をしているだけなのです。

生き物の世界では、退化は進化の対義語ではなく、その一側面です。「前向きvs後ろ向き」、「進化vs退化」という思考には、私たち人間の主観がかなり影響していそうですね。

人間が突然「退化」したらどうなってしまうのか?

reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

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