海を出たことのない魚も、歩く能力を進化させていたことがわかる

science_technology 2018/02/21

歩くのに必要な神経ネットワークは、およそ3億8千万年前に魚から進化した地上の動物だけにあるものであると考えられていました。しかし、最新の研究によって、リトルスケート(小型のガンギエイ)や原始的なサメのいくつかは、すでにこのネットワークを持っていたことがわかりました。

今回の研究によると、歩くことのできた古代の海の生物の中には、その新たな進化上の優位を使わずに、海にとどまり続けたものもいたようです。このことは以前考えられていたよりも、歩く能力の起源が古かったことを意味しています。

The Ancient Origins of Neural Substrates for Land Walking
http://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(18)30050-3

この研究は、もっとも原始的な脊椎動物の一つである、リトルスケートの持つ脳細胞の遺伝子解析に基づいています。

リトルスケートの脳が歩く動きをコントロールするのに、哺乳類で見られるのと非常に似た方法を使っていることがわかりました。それが意味するのは、こういった海の生物が、ある種の歩行行動を学んだ最初の生物であるということです。

研究チームは、リトルスケートの胚が水槽の底で歩くような動きをしている足取りを記録しました。

リトルスケートはサメと哺乳類の最後の共通する祖先であり、その遺伝的な経歴が重要となってきます。科学者は、その遺伝子発現をエレファントシャークやトラザメで活動している遺伝子群と比較しました。すると、この遺伝子群が種の中で保存されているとこがわかりました。

つまり、今現在見られるリトルスケートの歩く行動は、4億年前に遡って存在したかもしれないのです。

Credit:Cell

「脚」や筋肉を操作したり、「脚」を縮めたり伸ばしたりといった行動の遺伝子的な青写真が、リトルスケートと哺乳類の間でリンクしている可能性が、RNAシーケンシングで示されました。

これにより、最初に陸上で歩いた生物の出現の推定年代が、5千万年遡ったことになります。これは些細な期間ではありません。

リトルスケートには脚がありませんが、二組のヒレがあります。大きな胸ヒレは泳ぐのに使われます。しかし、小さな腹ヒレは、交互の右左動によって海底を歩くことを可能にしています。

歩行運動として知られるこういった種類の動きによって、リトルスケートは歩行の起源を研究するのにふさわしい研究対象となっているのです。

この研究は、生物が最初に歩くことをいつ学んだのかについて新たな洞察を与えてくれるだけではありません。リトルスケートはまた、歩くのに必要な運動ニューロンが脳内でどのように働くのかを研究するための比較的単純な地図を与えてくれます。

つまり、科学者たちは、どのように私たちが歩くのかや、どのように運動ニューロンの病気を治療したらいいのかについて、重要な情報を得ることができます。こういった情報は現在の哺乳類から得ることはできません。脳内で非常に多くの他の活動が同時に起こっているからです。

リトルスケートは、私たちが歩くのに使うのと同じ神経回路を持っている上、使用される筋肉はたった6個です。そのため、この回路がどのように歩くことを可能にしているかを解き明かす研究の簡便なモデルになるのです。

将来はっきりするでしょうが、さしあたり、歩行能力は陸上ではなく深い海で発見されたようです。

この研究でなされていない質問は、なぜリトルスケートが新たに見つけた能力を使わなかったのかということです。それは、単に怠惰だったからか、海の底にある住処を好んだためかもしれません。

 

via: Science Alert/ translated & text by Nazology staff

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