実は「ハエトリソウ」はハエをあまり食べない

science_technology 2018/02/20

ハエトリソウはとらばさみのような罠で、昆虫を捉えて消化し、栄養分として取り込む食虫植物です。同時に、ハエトリソウは花を咲かせて子孫を増やす被子植物でもあり、他の花を咲かせる植物と同様に昆虫に受粉を手伝ってもらっています。ここで、一つの疑問が湧きます。果たして、受粉を手伝ってくれている昆虫が獲物になってしまうことはあるのでしょうか?科学者たちの発見によると、その可能性は低いようです。

Venus Flytrap Rarely Traps Its Pollinators
http://www.journals.uchicago.edu/doi/pdfplus/10.1086/696124

ハエトリソウは世界的にも有名な食虫植物で、店頭に並ぶことも多く、研究室でも育てられて研究されています。しかし、その野生での生態は実のところはよくわかっていません。ハエトリソウはまた、レッドリストに掲載されている、絶滅危惧種でもあります。そのため、その生態を研究して種を守る努力をする必要があります。

その野生での繁殖域は狭く、北部および南部ノースカロライナの海岸線にある湿地のみです。研究を行ったのは、ノースカロライナ大学の昆虫学者のクレイド・ソレソンたちです。彼らは、罠の15から25センチメートル上にある花にやって来る受粉媒介者のリストをつくるとともに、罠を開いて中に含まれる内容物を収集して、どの虫を食べているのか調べました。内容物はまだ生きているものから、原型をとどめず、もともとがなんだったのかわからないものまで、様々です。

Credit: Wikipedia

研究室に戻り、内容物を詳しく調べた研究者たちは驚きました。なんでも食べると思われていた肉食のハエトリソウが、受粉を手伝ってくれる昆虫についてはほとんど食べていなかったのです。ハエトリソウが食べていたのは、その多くがクモやアリでした。頻繁に訪れるハチや甲虫といった羽のある虫ではなかったのです。花によって来る虫の87%がハエであったのに、獲物としては、20%にすぎませんでした。研究者は、これからは、ハエトリソウではなく、「クモトリソウ」と呼ぶべきだと冗談めかして言います。

進化的に見れば、ハエトリソウが受粉媒介者を食べないのは重要です。なぜなら、自己複製は大変だからです。受粉媒介者によって、他のハエトリソウと花粉を交換すると、より種子が成長する可能性が高くなることがわかっています。なので、花から花へ花粉を運んでくれる昆虫を必要としているのです。他の食虫植物であるウツボカズラは、罠が閉じている時に花を咲かせることで、この混じり合いを防いでいます。

研究者たちは、花と罠との物理的な距離が、この選択制を引き起こしている原因ではないかと考えています。餌となるクモやアリは地面から這い上がってきて、花粉の媒介者となるハエなどは、花から花へと飛び回ります。また、同時に研究者たちは、ハエトリソウが受粉媒介者が罠に近寄らないように、匂いや色を使って追い払っているのではないかと考えていて、さらなる研究を計画しています。

 

via: Popular Science/ translated & text by Nazology staff

SHARE

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE