「光」とねっとりした液体を使い立体物を”秒”で作る3Dプリンタが開発!考える人も一瞬でできちゃう

technology 2019/02/04

Point
■従来の3Dプリンタよりも「しなやかで複雑な」物体がプリントできる、新技術を用いた3Dプリンタが開発される
■光を照射して「一気に」物質を固めるこの方法では、層を重ねる方法により懸念される「段差」が生じることはない
■この技術は、医療現場で用いられる「CTスキャン」からインスピレーションを得て開発された

3Dプリンタがさらなる進化を遂げました。

ニックネームは「replicator(レプリケーター)」、従来のプリンタよりもなめらかでしなやかに、複雑な物を作り出すことができます。

従来のプリンタでは不可能とされていた、工具のドライバーのシャフトに持ち手の部分を加えるといった「既存の物質にフィットするように新たな物質を重ねる」こともできるのです。この技術は、義手などの人工装具やメガネのレンズなどの製造に応用される可能性を秘めています。

Credit: UC Berkeley / 「持ち手」が加えられたドライバーのシャフト

従来型のプリンタは、「層」を重ねることによって対象物を作り上げていきます。そのため、その端には段差が生じてしまうこともあります。また、曲がりやすい素材はプリント中に形を変えてしまうことがあるため、柔らかい物質を作ることも困難とされてきました。

しかし、このプリンタで使用されているのは粘着性の液体。その液体は、特殊な光に当てることで固体へと変化します。さらにその工程は一度に行われるため、層によって段差ができることもありません。

研究チームは、試しにロダンの「考える人」のミニチュア版などを作成しています。みるみるうちに考える人ができていきます。現在プリンタは直径4インチ(約10センチメートル)までの物体をプリントすることが可能とのこと。

CTスキャンを「逆」に利用

このプリンタは、医者が腫瘍や骨折の位置を特定するために使うCTスキャン(コンピュータ断層撮影)」からインスピレーションを得て開発されました。CTスキャンでは、患者の体にあらゆる角度からX線などの電磁放射が照射されます。そしてその吸収率等を分析することで、対象物を立体視することを可能にしているのです。

replicatorは、物体を測定するのではなく「作り上げる」ものであるため、CTスキャンの技術を「逆」に利用しました。研究をおこなったカリフォルニア大学バークレー校のハイデン・テイラー氏は、「このプリンタ開発を可能にした多くの基礎的な理論は、CTスキャンの基礎的な理論を応用したものであるといえます」と語っています。

Credit: UC Berkeley

replicatorの「インク」ともいえる液体は、感光性の分子と溶存酸素(水中に溶解している酸素)が混ざった液体ポリマーによって構成されています。その液体に光を当てることで感光性の分子が反応し、酸素を枯渇させます。そして、すべての酸素がポリマーの「架橋(cross-links)」を形成する場所においてのみ、液体は固体へと姿を変えるのです。

また、液体は必ずしも「透明」というわけではありません。透過させる光の波長を考慮した染料を用いれば、そこに色を加えることも可能です。

 

3Dプリンタの可能性がさらに広がったことを示した今回の研究。この新たなフレームワークから、多くのクリエイティブな作品が生み出されることが考えられます。研究チームはこの技術について特許申請の手続き中であり、replicatorが様々な場所で活躍する日もそう遠くないかもしれません。

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reference: berkeley_news / written by なかしー

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