天の川銀河は平らじゃなく「腕のフチが歪んでいる」ことが判明

space 2019/02/06
Credit: Chao Liu/NAOC
Point
■ケフェイド変光星と赤外線データを組み合わせたことで得られたより正確な距離の測定から、天の川銀河の3次元マップを作成
■その結果、天の川銀河の円盤の腕のフチがゆがんでねじ曲がっていたことが判明した
■銀河の運動を計算することで銀河の物質の総量の上限や分布が分かり、それが暗黒物質の分布に関するヒントとなりうる

私たちの銀河は、これまで平穏に過ごしてきたわけではありません。過去には他の銀河との巨大な衝突を起こし、将来も衛星銀河との衝突が予想されています。

そして新たな研究では、銀河系に関する新たな事実が発覚しました。天の川銀河が、すっきりしたフラットな円盤では無いことが分かったのです。天の川銀河のフチはひどくねじまがっているのです。研究成果は「Nature Astronomy」で発表されています。

An intuitive 3D map of the Galactic warp’s precession traced by classical Cepheids
https://www.nature.com/articles/s41550-018-0686-7

私たちの銀河は「S字状」

私たちの天の川銀河は、そばにあるアンドロメダ銀河とよく比較されます。大きさではアンドロメダ銀河に軍配が上がりますが、いずれも巨大な渦巻銀河で同じくらいの年齢なのです。

私たちは天の川銀河の内側で生活しているため、そこから全体像を見ることは不可能です。そのため、よく似た銀河であるアンドロメダ銀河から類推して、これまで天の川銀河はキレイにそろった渦を巻く「腕」を持った銀河であると考えられていました。

しかし、天体物理学者が銀河の中心から遠く離れた腕を観測した結果、天の川銀河の円盤がもっといびつにねじ曲がっている事が判明しました。研究によれば、銀河の平面は一直線ではなく、引き伸ばされた「S字状」になっているようなのです。

太陽から銀河のフチにある星までの距離を新たに測定することで、今回の発見がもたらされました。円盤の正確な形が分かっていない状態で、距離を求めることは極めて困難だったと、研究をおこなった中国科学院国家天文台のシャオディアン・チェン氏は述べています。

暗黒物質の分布に関する手がかりとなるか

測定には、ケフェイド変光星を用いました。ケフェイド変光星は、明るさと変光の周期に規則性があるため絶対等級を求めることができ、距離を定める基準として使われています。しかし、これらの星と私たちの間に、塵やガスが存在していた場合、計算される距離の正確性が損なわれることがあります。そこで、科学者たちはその影響を最小限に抑えるために「赤外線」を使って測定を行いました。赤外線は塵やガスを透過するのです。

実際に研究では、広域赤外線探査衛星による赤外線データを使って、塵による効果を除くことでケフェイド変光星の距離の誤差を「3~5%」にまで抑えることができたとのこと。これは過去に例を見ない正確さです。そして、それを天球上のケフェイド変光星の位置と組み合わせることで3次元マップを作り、ガスの分布と比較しました。その結果、天の川銀河が「平らな円盤」からはかけ離れていたことが分かったのです。

渦巻銀河のフチがゆがんでいることはそれほど珍しくはありません。特に、水素ガスが星の円盤から外れる現象はよくあることです。しかし、天の川銀河のゆがみが独特なのは、そこに「若い星を含む恒星」が含まれているということです。

そして、さらに興味深いとされているのが、円盤がねじ曲がっている、あるいは歳差運動をしているといった点です。この歳差運動は、内側の質量の高い円盤が、円盤のフチを引っ張って回転に従わせようとしていることを表しており、外側はそれに遅れてついていっていることを示しています。

銀河の運動について詳しく分かると、銀河の持つ質量の上限や、通常物質の分布が分かるようになります。それはひいては、暗黒物質の分布に関する疑問への手がかりとなる可能性もあります。

この研究の結果、今まで「平らなもの」として描かれていた天の川銀河の想像図を描き変えなければならなくなりました。それは言わば、踊るように腕を曲げた棒渦巻き銀河。思っていた以上に私たちの銀河はダイナミックだったようです。

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referenced: Science Alert / written by SENPAI

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