最も重いクオーク「トップクォーク」が注目される理由

quantum 2019/02/11
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Point
■物質の最小単位であるクオークのうち、アップクオークとダウンクオークの2種は陽子や中性子を作っている
■トップクォークは、原子の200倍で最も重たいクオークであり、最後に発見されたx
■質量を生み出すヒッグス粒子と重たいトップクォークは相性が良いため、ヒッグス粒子を解明するとトップクォークの質量の謎も解けるだろう

クオークと呼ばれる素粒子があります。非常に小さな素粒子で、あらゆる物質を形作る基本的な構成単位です。私たちの知る限り、クオークをさらに小さく分解することはできません。将来、科学技術が進歩して、色々なことが解明されるかもしれませんが、現時点ではとても謎の多い素粒子です。

またクオークには6種類あり、それぞれに奇妙な名前がつけられています。アップクオーク、ダウンクオーク、ボトムクオーク、ストレンジクオーク、チャームクオーク、そして最も謎が多いトップクォークの6種類です。ではこのトップクォークとは、一体どのような素粒子なのでしょうか?

陽子や中性子を作るアップクオークとダウンクオーク

最も身近なクオークは、アップクオークとダウンクオークです。この2種のクオークが3つの組で集まって形成され、陽子や中性子を作ります。陽子はアップクオーク2つとダウンクオーク1つ、中性子はアップクオーク1つとダウンクオーク2つからできています。

また、陽子のプラスの電荷と、中性子の中性の電荷から、クオークが分数量の電荷を持っていることがわかります。私達は根本的なものとして電荷を考えているため、分数量と聞くと不思議に思うかもしれません。しかし、アップクオークは3分の2のプラス電荷を、ダウンクオークは3分の1のマイナス電荷を持っています。

クオークについて考える時に混乱を招く原因は、クオークが驚くほど軽いからです。アップクオークは陽子の0.2%の質量しかありませんし、ダウンクオークは0.5%です。では、どうしてこれほど痩せっぽちな素粒子から、どっしりとした陽子の質量が生まれるのでしょうか?

その答えは、クオークを結びつけている力、強い核力にあります。クオーク間の結合は驚くほど強力で、同じ電荷を持つクオーク同士が反発し合う斥力を打ち消します。そして、アインシュタインによって明らかにされたように、エネルギーと質量は同等です。陽子の質量は、クオーク間を結びつけ「のり」の役割をする素粒子グルーオンによって決まり、クオークそのものはそれほど影響しません。

すべてのクオークが、大きく、質量が高いわけではありません。ただ、量子論の世界では、大きいことは不安定を表すため良くないとされています。質量が高いということは、急傾斜の山頂いるようなもので、見晴らしは良いのですが、わずかな風によって下に落ちてしまうのです。逆に、小さいことは安定しているということになります。したがって、不安定になった大きな粒子はすぐに小さな粒子に崩壊して散らばります。

アップクオークやダウンクオークは最も小さく、安定しています。そのため、良い景色は見えなくても、崖の下へと転がり落ちる危険性が無いのです。また、ストレンジクオークとチャームクオークは、アップクオークやダウンクオークの次に大きく、自然界で見つかることはほとんどありません。重いため、作り出すことが難しいからです。もし、作ることができたとしても、すぐに他のものへと形を変え、元の姿は残らないでしょう。

しばらくの間、物理学者たちはアップ、ダウン、ストレンジ、チャームの四種類のクオークしか存在しないと考えていました。しかし、1970年代初頭、不安定な大きな粒子が変化する時、K中間子と呼ばれる粒子を含んでいるのではないかと疑いだします。この疑いを解明するために、学者たちはクオークに新たなペアが存在することを推測し、トップクォークとボトムクオークと名付けました。これらの新しいクオークは、他の4つよりもずっと、ずっと重たいものです。

最も重いクオークを発見するための研究

1977年、5番目のボトムクオークが観測されると、最後の6番目のトップクォークの発見が研究者たちの間で競争となりました。しかし、誰もトップクォークの大きさについて知らなかったため、加速器でどれだけ粒子にエネルギ-を与えるべきかわかりませんでした。毎年世界中のグループが、装置をアップグレードしては質量を上げることを繰り返しましたが、仮説上の粒子の発見に至らなかったのです。

しかし、ついに1995年、フェルミ研究所の研究者たちがスケールを陽子の200倍まで上げることで、トップクォークを発見しました。トップクォークの質量はアップクオークの100兆倍です。では、なぜクオークにはこれほど幅広い質量の幅があるのでしょうか?

この疑問を解決するには、ヒッグス粒子も合わせて考える必要があります。ヒッグス粒子は、電磁気場に似たヒッグス場と呼ばれる存在と関係があります。ヒッグス場は、宇宙全体にくまなく広がっています。電子やニュートリノ、クオークといった他の素粒子は、ここを通り、ある場所から違う場所へと泳ぎ渡っていると考えられています。これらの素粒子にとって、ヒッグス場を無視できないという理由は質量を持つからです。

これが手がかりとなります。もしヒッグスが質量の概念とつながっていて、トップクォークがクオークの中でもずば抜けて重たいということは、ヒッグス粒子とトップクォークは、相性がとても良いことになるのです。

ここ何年にも渡り、トップクォークはヒッグスを理解するための入り口となっています。そして、ヒッグスそのものをさらに研究することで、トップクォークの謎めいた大質量に何らかの展望が得られるのではないかと期待されているのです。

ヒッグス粒子の崩壊、ついに初観測 

reference: Space.Com / written by SENPAI

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