量子のジェット噴出現象の中に、「亀」のようなパターンが発見される

quantum 2019/02/13
Credit: Lei Feng 機械学習がとらえた亀のパターン
Point
■ボース=アインシュタイン凝縮で量子現象を示すようになった集団に磁場をかけることで、ジェット噴出が起きる現象が観察されている
■この現象の背後にあるパターンを見つけるために、機械学習のアルゴリズムが使われている
■見つかったパターンは、甲羅に足と頭と尻尾がある亀のような形であることが判明した

2年前、シカゴ大学の物理学者たちが新たな形態の量子の動きを発見した時、花火のような原子ジェットの噴出をとらえました。しかしそこには多くのノイズが含まれ、この明るいジェットに隠されたパターンの特定には困難を極めました。

代わりに、科学者たちは、新たなアプローチ方法である機械学習を、研究に持ち込みました。パターン認識アルゴリズムでデータを処理することで、原子が通った軌道が亀のような独特な形をしていることがわかりました。さらに、その先にある物理学を理解する手がかりが得られたのです。この研究は、「Science」に掲載され、量子力学の理解を深めるだけでなく、量子現象を研究する革新的な方法が示されました。

Correlations in high-harmonic generation of matter-wave jets revealed by pattern recognition
http://science.sciencemag.org/content/363/6426/521

原子ジェットの噴出のパターンを認識アルゴリズムで見つける

シカゴ大学の物理学教授チェン・チン氏は、「複雑な量子力学を理解するのに、直感に頼っていては限界があります。機械学習はこういったシステムを理解する新たな道具となりえます」と述べています。彼は、量子現象を超低温下で実験する先駆者です。

元々の実験では、粒子を絶対零度付近にまで冷やして、すべての粒子が最低エネルギーになる、ボース=アインシュタイン凝縮の状態にしました。次に、磁場を作用させると、原子が明るいジェットとして放出されたのです。この発見は、驚きを持って迎えられることになりました。

しかし、明確なパターンをノイズの中からあぶり出すのは難しいことでした。そこで、人の目ではとらえられないパターンや相関を見つけ出すため、筆頭著者である大学院生のレイ・ファンによって、機械学習のアルゴリズムが作られたのです。

「これは、駅で移動している人たちの流れに似ています。最初はランダムに見えますが、注意深く観察すると、一緒に移動している家族や、待ち合わせているビジネスマンなどを見つけられます。」

亀のような形がパターンから見つかった

アルゴリズムによって、亀の形に似た相関関係が浮かび上がりました。中央の発信源の周りにリング状の「甲羅」があり、2番めの領域にある4つの点が、まるで足のように見えます。そして、2つの伸びた明確な点が「頭」と「しっぽ」です。ファン氏は、「もし、ある粒子が一つの方向に進行するのを見たなら、それにはいつも45度の角度に他の粒子を伴っています」とも述べています。

基本的に、それは一連の連鎖反応です。最初の対の粒子は発信源の近くで相互作用して、お互い跳ね返って離れていきます。これらの粒子の相互作用で次のリングが形成されるといった具合です。この物理の背後には、高次高調波発生と呼ばれる現象があります。

「原則として、上記の画像は、このような多くの亀パターンで構成されています。どこを見ても亀なのです。機械学習によるパターン認識を通常の相関法で確認しています。各原子対の間の関係を見ることで確認できますが、私達が見つけたパターンが最も理解しやすいものでしょう」とファン氏は説明しています。

科学者たちは、量子力学の研究における新規の現象を、機械学習が明らかにするのにとても役に立つと考えています。

「パターンを認識することが、科学の最初のステップです。機械学習によって、隠れた関係や特徴を見つけられます。特に多くの粒子からなるシステムを理解する段階に移ったときは便利です」

 

複雑な量子の動きを理解するには、テクノロジーの助けが必要となってくるでしょう。直感で理解するには難しい量子ネットワークにも、技術の力を借りることで、手が届くようになるのかもしれません。

人の動きは「量子」でわかる? 「群集」の行動を量子集団の数理モデルで予測してみた研究

referenced: Phys.Org / written by SENPAI

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