瞳がキラリ。 三日月のように光る瞳を持つ奇妙なクモの化石が発見される

animals_plants 2019/02/14
Credit: Paul Selden
Point
■韓国南部の堆積層の頁岩からLagonomegopidaeという絶滅種のクモの化石が発見された
■夜行性のLagonomegopidaeは、入ってきた光を反射して網膜に返すことで光を増幅するタペタムの構造を持つ
■Lagonomegopidaeは約1.1億〜1.13億年前に生存し、バクテリア分解を免れたことで頁岩に閉じ込められたと推測

クモの瞳に乾杯…?

クモなどの身体が柔らかい昆虫は、硬い骨や歯を持つ動物と異なり、岩石の中で化石化することはほとんどありません。一般的にこれらの昆虫は、樹木から樹液がにじみ出て、土と一緒に堆積して琥珀化する際に、その中に混入した状態で発見されます。

かなりレアなケースですが、韓国南部に位置する白亜紀前期の堆積層「晋州層」の頁岩(泥や粘土鉱物からなる堆積岩)の中から、クモの化石が発見されました。しかも珍しいのは、岩の中で見つかったことだけではありません。なんと、暗闇の中で狩りを行うためにキラリと光る目を持っているのだそう。カンザス大学の研究チームが発表した論文が、「Journal of Systematic Palaeontology」に掲載されています。

A diverse new spider (Araneae) fauna from the Jinju Formation, Cretaceous (Albian) of Korea
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14772019.2018.1525441

三日月に光る瞳のクモ、その名も「タペタム」

研究チームの一人ポール・セルデン氏によると、この絶滅種のクモLagonomegopidaeの目は「タペタム」と呼ばれる反射板の構造を持っているそうです。入ってきた光を反射して網膜に返すことで光を増幅し、暗闇の中でも周囲の状況を鮮明に見ることができるこの仕組み。写真からは舟のような形をしたタペタムを捉えることができます。

タペタムを持つ身近な動物の代表と言えば、ネコ。夜行性のネコの目は、夜間に外を歩く時、何かを反射したかのようにキラリと光ります。

実は、タペタムの構造を持つクモは、現存種の中にもいくつかいます。ですが、絶滅種の中でこの特性を持つクモが見つかったのは、今回が初めてです。

また、Lagonomegopidaeの大きな目は、暗闇の中で正面をよく見えるように発達した可能性を示しています。大きな目を持つクモの代表と言えばハエトリグモですが、こちらはタペタムを持っていません。Lagonomegopidaeは白亜紀に一般的に生存していた種のクモで、その時はまだ出現していなかったハエトリグモの位置を当時占めていたと推測されています。セルデン氏は、夜行性のクモが共通した目の特性を備えていると考えています。

発見されたクモは、およそ1.1億〜1.13億年前に生存していたもので、何らかの理由で腐敗せず、頁岩が形成される際に中に閉じ込められた模様。硬い殻を持たないクモとしては、かなり稀なケースです。

偶然もたらされた発見

セルデン氏は、クモが湖へ流された際に、何らかの理由で酸素量の少ない水底に沈み、バクテリア分解を免れたのではないかと推測しています。あるいは、クモが発見された頁岩の周囲が小さな甲殻類や小魚で覆われていたことから、藻の一種である青粉がクモを絡め取り、水底に沈めた可能性も。正確な原因は分かりませんが、湖の周辺で大量の生き物が一度に死滅するような出来事が起きたことは間違いなさそうです。

今回の発見は、建設工事中に偶然もたらされました。韓国には建設に適した平らな土地が少なく、丘陵地帯を削って平らにならすのが一般的です。その過程で一時的な発掘作業が行われることは珍しくありません。

さらに、頁岩の中で化石化していたことが、Lagonomegopidaeがタペタムを持っていたことに気づかせる役目を果たしてくれました。黒い頁岩が、クモの大きく光る瞳を際立たせたのです。もし普通どおり琥珀の中で保存されていたら、そのことは見落とされていたかもしれません。セルデン氏は、琥珀の中で見つかったクモの化石について、タペタムの構造を持つものがないかを再調査したいと考えています。

偶然に偶然が重なってもたらされた今回の発見。三日月のように煌めく大きな瞳が最期に目にした地球の風景とは、一体どんなものだったのでしょうか。

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reference: phys.org / translated & text by まりえってぃ

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