視力6000相当のアルマ望遠鏡、野良ブラックホールを突き止める

space 2019/02/13
Credit: nao.ac.jp / 分子雲を振り回す中間質量ブラックホール(想像図)
Point
・天の川銀河中心にある特異な分子雲(星雲)の詳細な構造と運動が捉えられた
・大きすぎず小さすぎずの「中間質量ブラックホール」が強く示唆された
・天の川銀河の中心付近に似たようなブラックホールが他にもある可能性

つまりどういうことだってばよ……?

国立天文台の望遠鏡、アルマ望遠鏡。視力6000にも相当する、マサイ人も目じゃない圧倒的観測力を持つこの望遠鏡が、地上5000mの高地から太陽の3万倍の質量のブラックホールの存在を明らかにしました。

大中小3つの大きさのブラックホール

ブラックホールは現在、2種類が存在を確認されています。

太陽の数倍から数十倍の質量を持つ軽い(!?)ブラックホールと、太陽の100万倍から100億倍にも及ぶ質量を持つ超大質量ブラックホールです。軽いブラックホールは恒星質量ブラックホールと呼ばれ、太陽の30倍より重い恒星が燃え尽きた後の、超新星爆発を経て形成されます。超大質量ブラックホールは多くの銀河の中心に核として佇んでいることは判明していますが、その起源はまだ解明されていません。

ブラックホールは、ブラックホール同士の合体や物質を吸収することで超大質量ブラックホールへ成長すると考えられています。しかし、その成長過程にあたる「中間のブラックホール」はいくつかの報告例があるだけで、存在の裏付けには至っていません。この「中間質量ブラックホール」はブラックホール界のミッシングリング的存在で、超大質量ブラックホールの起源解明の鍵になると考えられています。

やせいの ブラックホールが あらわれた!

水素原子でできた星雲「分子雲」は、一般的には、銀河の回転に従って中心核の周りを運動しています。

しかしそれを覆すかのように、銀河回転に「逆行」する異質な回転を行う分子雲が、2016年に国立天文台と慶應義塾大学の研究チームによって発見されました。研究チームはその不自然な方向への加速を受けたような運動が「野良ブラックホール」によるものである可能性を指摘していました。

さらにチームはこの分子雲の正体を掴むため、アルマ望遠鏡を使った観測を実施。すると、当初1つの分子雲と思われていたものは複数の構造から成り立っていたことが分かりました。そして分子雲それぞれの連続的速度変化から、起動回転運動をしていると考えられ、その運動を助ける引力源の存在…つまり「中間質量ブラックホール」が強く示唆されたのです。

この野良ブラックホールの質量は太陽の3万倍程度で、これは中間サイズに当たります。これまでにも中間質量ブラックホールの」存在は示されてきました。しかし今回観測された分子ガス雲の詳細な運動は、今まで以上に確かな証拠が提示しています。

 

これまでのブラックホール探査は「降着円盤」という、吸い込まれる物質に由来する円盤から放出されるX線やガンマ線をもとに行われていました。しかし、私たちのいる天の川銀河内のブラックホールはこの方法が取りにくいため、今回の研究は、今後のブラックホール探査の手法について重要な成果だったようです。

みんなもブラックホール、ゲットじゃぞぉ〜

レアな中間質量ブラックホールが、近づいた「ゾンビ星」を復活させている可能性

reference: nao.ac.jp / written by 白大根

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