仁義なき戦い。のろまな精子はブロックされてしまう仕組みを発見

life 2019/02/17
Credit: Sebastian Kaulitzki
Point
■女性器には狭窄部があり、そこでスピードの遅い精子を振り落とす仕組みが発見される
■狭窄部を模したマイクロ流体装置を使った実験では、精子が蝶型のパターンで押し流される様子が観察される
■この仕組によって、スピードの速い、強い精子が受精する可能性を高めている

何千万もの精子による仁義なき戦い。そこには、ある非情なシステムが働いていたようです。

コーネル大学の研究者たちは、女性の生殖器の形には、泳ぎが下手な精子をゴールから遠ざける働きがあることを発見しました。小型の模型とコンピューターのシミュレーションにより、生殖器のすぼまって狭くなっている狭窄部が、門の様な働きをして、子宮頸から卵子へとスピードの速い精子だけを通すことを明らかにしました。研究は「Science Advance」で発表されています。

Strictures of a microchannel impose fierce competition to select for highly motile sperm
http://advances.sciencemag.org/content/5/2/eaav2111

精子には過酷な生存競争があります。何千万もの競争相手がいる中で、卵子と受精できるのはたった1つの精子です。長い道のりを乗り越えるスタミナと、一番乗りできるスピード、酸性過酷な酸性の環境や免疫系の攻撃に負けない耐久力が必要になります。今回、精子の生存競争をさらに過酷にし、弱い精子を押し流して侵入させない仕組みが女性器に備わっていることが発見されました。

狭窄部を模したマイクロ流体装置を使って、実験する

女性の生殖器をよく見ると、卵子へと続く管は一定の幅になっていないことがわかります。ある地点では、非常に狭くなっているため、一度に数個の精子しか通ることができません。精子が狭い地点でどのように動くのかを見るために、研究者たちは、狭窄部に似せた小さなマイクロ流体装置を作りました。この装置には、3つの目の形をした部屋があり、狭窄部でつながれています。

この装置に流体を流して実験を行い、逆流した精子が登って狭窄部を越える様子を観察しました。狭窄部を通過できるだけのスピードで泳ぐ精子もいましたが、向かってくる流れに捕まってしまうのがほとんどです。実験は人の精子と牛の精子を使い、両者とも狭窄部の入り口で同じ様な動きでとらえられてしまいました。それらは入り口の下流で、横向きの8の字型や蝶型のパターンを作っていたのです。部屋の片側の壁から入り口に向かっていたものが、反対側の壁へと押し流され、再び入口に向かって登り、再び押し戻されるという動きです。

スピードの速い、強い精子が受精する可能性を高い

この蝶型の動きは、精子を密集させました。そして、速い精子は入り口付近のそれぞれの壁にあり、遅い精子は押し流されて遠くに広がっていきます。この難所を突破できた精子は、間違いなく卓越した泳ぎ手でしょう。

ある実験では、狭窄部に向かって泳いでいる精子のスピードは84.2mm/sでした。弱い精子が遠ざけられることで、強い精子が次の挑戦に成功する可能性は高まります。これにより、最も速く 、それ故に最良とされる精子が、流れに逆らって狭窄部を通過できることが示されたのです。生物学的な観点からも、女性器がどのようにして、最良の精子が卵子に受精するのを保証しているか説明できます。

生まれてきたすべての人が、この過酷な競争を勝利した特別な存在です。それだけでなく、生存競争に勝ち抜けたから、人間という種が生き延びてこれました。女性器には、卵子と受精する精子の選択をさらに効率よくする仕組みがあったのです。気分が落ち込んだときなど、この奇跡を思い返せば、元気をもらえるかもしれませんね。

「前回の射精から3時間以内が妊娠に効果的」という新しい研究結果

referenced: The Guardian / written by SENPAI

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