おばあさんが子育てを手伝うと孫の生存率が上がる「おばあさん仮説」が支持される理由

life 2019/02/16
Credit: pixabay
Point
■閉経後も女性が長生きする理由に、おばあさんが子育てを手伝うことで生存率が上がるためとする「おばあさん仮説」がある
■母方のおばあさんが近くに住んでいた場合に、孫の生存率が上がるという証拠が示される
■おばあさんが遠くに住むことで、出生数が下がるとする結果が示される

おばあさんが孫の世話を手伝うケースはよくみられますが、それと「女性の寿命」を結びつける「おばあさん仮説」というものがあります。

女性が生殖可能年齢を超えて長生きする理由や、他の生物では珍しい「閉経」が進化した理由を、祖母の子育て協力から導くというものです。

新たに「Current Biology」に掲載された2つの論文で、この仮説を支持する証拠が示されました。17世紀と18世紀の地域社会では、祖母が若いほど、そして孫の近くに住んでいるほど、孫が幼児期に生き残れる可能性が高かったことがわかりました。

Limits to Fitness Benefits of Prolonged Post-reproductive Lifespan in Women
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30008-9

トゥルク大学のビルピ・ルンマ女史は、「世界中どの地域でも、おばあちゃんは、中心となって家族を助けてくれますが、年齢が下がるとともに、若い孫の世話をする機会や能力が下がっていくことがわかりました」と述べています。

父方のおばあちゃんが世話をすると、死亡率が高かった

ルンマ女史と共同研究者達は、1731年から1895年に生まれた、5815人の子供を記したフィンランドの教会員の記録を調べました。すると、母方のおばあちゃんが、50歳から75歳で、娘家族のそばに住んでいる場合、母方のおばあちゃんがいない場合より、2歳から5歳の孫の生存率は30%高めでした。しかし、75歳を超える父方のおばあちゃんがいる場合、父方のおばあちゃんがいない場合よりも、2歳以下の孫の死亡率が37%高くなっていました。

トゥルク大学の進化生物学者サイモン・チャップマン氏は、「この研究が示すことがわかった時、冗談だと思いました。殺人おばあちゃんなんて、そんな話ありますか。」と言っています。

そして、子供たちの生存率の減少は、子供と老人の世話を同時にこなす両親の負担が原因では無いかと指摘しました。

おばあさんが遠くに住むことで、出生数が下がる

また、遠くに住むおばあちゃんも頼れないことが、別の研究で報告されています。カナダのセントローレンスバレーのデータを使って、1608年から1799年までの間に生存した、3382人の母方のおばあさんと、56,767人の孫たちについて調べられました。その結果、おばあちゃんと母親の住んでいる距離が離れるほど、母親は子供を産まないことがわかったのです。100km離れるごとに、平均して0.5人の子供が減っていました。

しかし、これらの研究結果が、女性の閉経後の生存を説明する「おばあさん仮説」を支持していないと考える研究者もいます。年老いた男性が子供を持ったことで、長寿遺伝子が遺伝されたのかもしれません。あるいは、女性が高齢で子供を持ち、おばあさんと認識される歳になっても子育てしていたために、生き延びていたのかもしれません。

 

「おばあさん仮説」は果たして正しいのでしょうか?おばあさんが孫の世話をすることで、自身の寿命も伸ばせることはいい話だと思います。しかし、おばあさんが長生きすることで、両親世代の負担になり子供の生存率が下がるという話は、残酷な現実を表しているようです。進化の上では、どちらの影響が大きいのでしょうか?

「寿命」はほぼ遺伝しないことが判明。重要なのはライフスタイル

referenced: The Scientist / written by SENPAI

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