UFOの正体ともいわれる「球電現象」の謎、量子力学で解明か

science_technology 2018/03/09
Credit: theparadigmshifter / Flickr

球電光、または球電現象とは、激しい雷雨中に時々出現し、さまよう明るい球体のこと。その奇妙な姿から、「この現象がUFOの正体なのではないか」と囁かれてきましたが、その仕組みは何世紀にもわたって謎のままでした。

しかし新しい研究によって、その謎がついに解明されたかもしれません。それは過冷却した量子物体の磁場を結びつけ、複雑な結び目にした実験から導き出されました。

Synthetic electromagnetic knot in a three-dimensional skyrmion
http://advances.sciencemag.org/content/4/3/eaao3820

この奇妙な結び目は「シャンカール・スキルミオン」と呼ばれる量子物体の一つで、1977年に最初に想定されていましたが、これまで実際に実験室内でつくろうとした研究者はいませんでした。スキルミオンはきつく束ねられた一群の円形の磁場で、各円は他の円とただ一度だけ交わります。

一つのキーホルダーのリングに他のリングをつなげた時のことを考えてみてください。それから、もっと多くのリングを、新しいリングが他の全てのリングを通すようにつなぎます。その結果できた形がスキルミオンの磁場と似ています。しかし全てのリングを破壊することなしに引き離すことは不可能です。

しかし、スキルミオンはこのキーホルダーのリングの塊とは決定的に異なっているところがあります。それは、ねじれです。この折り重なった磁力線はその同じ進路を2回周ります。もし、原子を探索できる小さな宇宙船でその一つにそって飛ぶと、1周するうちに2度の螺旋を描くことになります。

研究者たちは、過冷却された「ボース=アインシュタイン凝縮体」と呼ばれる、濃くてはっきりしない形となった原子の雲からスキルミオンを作りました。この凝縮体は絶対零度付近で現れる物質の状態で、原子間の境界は混じり合い、人間がよりたやすく検出し観察できる範囲で量子効果が現れます。

エキゾチッククラスの量子磁石を組み上げるために開発した技術を使って、凝縮体中の原子のスピンあるいは磁石の方向をつつき、スキルミオンの折り重なったリングを出現させました。

このスキルミオンが球電光の良いモデルとなるかもしれないことが明らかとなったのはこの時です。

球電光は、ほとんど理解されていない希少な気象現象で、普通は激しい雷雨時に現れる色とりどりに輝く球体です。空中を飛び跳ね、通常我々が慣れ親しんだ稲妻よりもずっと長く残ります。

1996年にNatureに載った論文では、球電光は稲妻のプラズマ周辺の磁場が、結び目状に巻き込み稲妻をその中に閉じ込めた結果ではないかと論じられています。また、その結び目となった磁場がどのようなものになるのかのモデルを提案しています。

今回研究者たちは、彼らが作って観察した冷たく小さなスキルミオン周辺の磁場が、この論文で提示されたモデルと合致していることを報告しています。熱い球電光は、実は自然発生した大きなスキルミオンかもしれないのです。

 

via: Live Science/ translated & text by Nazology staff

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