人間の「老化」の指標となる新しい生物時計を発見

biology 2019/02/17

Point
■ゲノム内でも活発に働いている、リボソームの合成に関わっているリボソームDNAは老化との関わりが示唆される領域
■ゲノム全体に比べて狭い領域であるrDNAのメチル化の度合いが、生物学的年齢を示していることがわかる
■比較的容易に低コストで使える老化のバイオマーカーとして期待される

新しく発見されたリボソームDNA(rDNA)時計によって、生物学的年齢を正確に定められるかもしれません。

リボソーム時計とは、老化と機能的に関連のあるゲノム領域であるrDNAを基にした、新しい老化のバイオマーカー。幅広く応用される可能性があり、例えば汚染物質への暴露や食事による介入で、老化がどれだけ進んだり遅れたりするのかを、人間やマウスを含む多くの種類の動物で評価できるようになります。

「リボソーム時計が環境や各個人の選択が長期の健康に及ぼす衝撃に関して、新たな洞察をもたらすことを私達は期待しています。生物学的年齢を決定することは、老化の基礎的な側面を理解するための中心となる一歩ですし、個人や公衆衛生における選択を伝えるツールの開発にも使えます」と准教授で著者の一人であるベルナルド・レモス氏は述べています。

研究は「Genome Research」でオンライン発表されています。

Ribosomal DNA harbors an evolutionarily conserved clock of biological aging
https://genome.cshlp.org/content/early/2019/02/07/gr.241745.118

生物学的年齢とrDNA

老化は酵母や線虫、ハエ、マウス、ヒトなど幅広い動物で見られます。年齢はまた、神経の病気や心血管障害、がんなどの多くの病気における主要な危険因子でもあります。

年齢には2つの種類があり、一つは経過した年月で定める暦年齢、もう一つは食事や運動、環境などのライフスタイルによって伸び縮みする生物学的年齢です。一般的に生物学的年齢の方が、暦年齢よりも死亡や病気の発生といったイベントを予測する良い指標となっています。

新たな研究では、ゲノム上で活発な活動の見られる領域であり、老化と機構的な関係が示されているrDNAに注目しています。研究では、rDNAがゲノム上での老化のコントロールのための信号弾であり、未だに見つかっていない時計が隠されているという仮説を立てました。

それを確かめるために、エピジェネティクスによるDNA修飾、つまりメチル化がグアニンとシトシンが豊富に存在するCpG領域に、どれだけ起こっているかを調べています。13kbという小さいけれど重要でゲノム上で活発な領域であるrDNAを中心に、新たな老化のマーカーとして使えないかを調べたのです。

低コストで使える老化のバイオマーカーなるか

マウスや犬、ヒトのゲノムワイドなデータセットを解析した結果、仮説に有利な点を発見しました。rDNAのCpG領域に老化の結果と思われるメチル化の増加が見つかったのです。老化時計をさらに検証するために、長生きを助長する介入であるカロリー制限をした14週齢のマウスのデータを使って研究を行いました。その結果、カロリー制限で育てられたマウスには、rDNA領域に明らかなメチル化の減少が見つかりました。さらに、カロリー制限したマウスのrDNA年齢は、暦年齢よりも若くなっていました。

哺乳類のゲノムの狭い領域におけるメチル化を評価することで、ゲノム上の何千もの領域から作り上げた時計と同等の生物時計が作れたことに、研究者らは驚いています。新たなアプローチによって、より速くてコストも掛からず生物学的年齢を決定できることは特筆すべきことです。新たな発見でrDNAが老化に果たす役割や、あらゆる哺乳類で適応可能な、広く利用できる個体の年齢の推測方法として注目されるでしょう。

重要なのは、この生物時計が介入に対して反応したことです。研究者は、環境への暴露やライフスタイルの選択がどのように生物学的年齢へと反映するかを研究できるようになります。正確な生物学的年齢を見極められるようになったことで、平均に比べて自分がどれだけ年をとっているか、あるいは若いかが示されるようになり、死や病気のリスクが高まっているかどうかをモニターする助けになります。

 

rDNAのメチル化を評価することで、生物学的な年齢が比較的容易にわかるようになるという研究。このメチル化が老化の原因になっているのかどうかは示されていませんが、もしそうだとすればメチル化を抑制あるいは脱メチル化することで若返りが可能となるかもしれません。いずれにしても、生物学的年齢の評価が簡単になったことで、今後の老化研究は加速するでしょう。

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reference: Medical X Press / written by SENPAI

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