あら不思議。LEDの電極を「逆」にするとヒンヤリ冷却できることが判明

technology 2019/02/15
Credit: pixabay
Point
■赤外線を放射するLEDの電気バイアスを逆転させることで、熱放射が抑えられて冷却効果が現れることを発見
■他の装置を冷却するにはナノメートルスケールで近づける必要がある
■将来的には、効率的にマイクロプロセッサが冷却できることが期待される

さすがにLEDの「光」は、逆にすると消えちゃうみたいですけどね。…DELだけに。

ミシガン大学の研究者たちが、物理学における一般的な推測とは異なる発見をしました。LEDの電極を逆にすると、ナノメートル程度のとても近くにある他の装置を、冷やせることがわかったのです。将来この技術を使えば、より効率的に集積回路を冷やせるようになるかもしれません。

研究は2月13日付けで「Nature」に発表されています。

Near-field photonic cooling through control of the chemical potential of photons
https://www.nature.com/articles/s41586-019-0918-8

光を使って冷却する手法の中では、今回の方法は2番目の発見になります。1番目はレーザー冷却という、光のドップラー効果を利用することで、物質の動きを制限して冷却する方法です。

新しい2つ目の方法は、熱放射の化学ポテンシャルを利用します。化学ポテンシャルは、バッテリーの働きを説明する時などに使われる概念です。

エドガーメイホファー教授は、「現在でもなお、放射の化学ポテンシャルがゼロであると多くの人が推測がしています。しかし1980年代に行われた理論研究で、ある条件下では成り立たないことが示されました」と述べています。

冷却する仕組みがわかった

例えば電流が生まれるのは、蓄電池の中に化学ポテンシャルが存在するためです。蓄電池の中の金属イオンは、化学ポテンシャルエネルギーを放出できるように、もう一方の電極へと流れようとします。そのエネルギーを、電気エネルギーとして利用するのです。可視光や赤外線といった電磁波は、通常こういった化学ポテンシャルを持っていません。

普通、熱放射の強度は温度でのみ変化します。しかし、実際には放射を調節できるもう一つの調節ツマミがあり、私たちが研究している冷却を、可能にしています。

そのツマミが、電気です。理論上、赤外線LEDの電極を入れ替えれば、光の放射だけでなく、室温によって生じる熱放射も抑えられます。熱を持つ全ての物体は赤外線を放射しています。それによって、赤外線スコープで暗闇を見通せるのです。

電極を入れ替えると、赤外線放射がなくなるため、LEDの温度は下がります。

将来、もっと効率的に冷やせるようになるのか

しかし、この冷却効果や、他に興味深い現象が起きていないか測定することは、とても難しかったといいます。

ある対象物からの赤外線の流れが、LEDに十分に伝わるためには、赤外線の波長よりも短い距離に、2つの装置を置かなければなりません。より多くの赤外線光子または光の粒子が冷却されるべき対象物からLEDへと通過することを可能にする、近接場効果やエバネッセント場を利用します。それによって、より多くの赤外線光子をLEDの冷却で使えるようになりました。

研究者たちは、髪の毛の幅の数千分の1という距離に装置を近づけることで、ほとんどの光子を逃さず冷却に使っています。研究は極低振動実験室で行われているため、実験室の外の階段を上り下りする振動の影響も受けません。

また、極小の熱量計を開発し、米粒サイズのLEDのそばに置き、エネルギーの変化を計測することで原理の証明を行いました。2つの装置は常にあらゆる環境で、温度を伝える光子のやり取りをしています。そして、LEDの電気バイアスを逆転させると、とても温度の低い物体として動き始め、熱量計から光子を吸収しました。同時に、熱が伝導によって熱量計に戻るのを隙間が妨げ、冷却効果が現れたのです。

チームは、一平方メートル当たり、6ワットの冷却を実現しています。理論的には、一平方メートル当たり1000ワット近くの冷却ができるはずです。

 

この技術が重要なのは、将来のスマートフォンやコンピューターの集積回路の冷却に使えることです。装置が小型化し、能力が上がるに連れて、熱の処理が問題になってきます。冷却効率を改善することで、将来、この技術で速やかにマイクロプロセッサを冷やせるようになるでしょう。

回路基板とバッジを組み合わせた「回路バッジ」がカッコイイ…!ハッカーたちの渾身の作品を紹介

referenced: Phys.Org / written by SENPAI

SHARE

TAG

technologyの関連記事

RELATED ARTICLE