アカシアの木とアリたちの不思議な共生は「振動」が鍵だった

animals_plants 2019/04/07
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Point
■アカシアの木は、アリに食物と避難場所を提供する代わりに、お返しとして草食動物から保護してもらっている
■アリは、動物が生む振動と風が生む振動の振動数の違いを認識し、振動源の方向を捉える
■「転向走性」のおかげで、すぐに防衛の配置を整え、敵に立ち向かうことができる

アフリカの大地で、ひそかに育まれている友情があるようです。

ケニアを含む熱帯から温帯の地域にかけて分布するアカシアの木。この木には、キリン、ゾウ、ヤギといった天敵が数多くいます。これらの草食動物は、葉をむしり取り、幹から樹皮を剥ぎ、枝を折るだけでなく、時には木そのものを根こそぎなぎ倒してしまうことさえ…。

自分では身動きできないアカシアですが、決して「無防備」というわけではありません。自らの身を守るために「ちっちゃな友だち」の力を借りているらしいのです。

最大の謎は「アリがどうやって敵が来たことにに気づくのか?」

その友だちとは「アリ」のこと。アカシアの木は、アリの一種”Crematogaster mimosae”に食物と避難場所を提供する代わりに、お返しとして草食動物から保護する役目を彼らにお願いしているのです。

credit:Felix Hager

アカシアが草食動物の餌食にならんとするその時、一斉に出動した「護衛」のアリたちは木を守ろうと大奮闘します。「その小さな身体で一体どうやって?」と疑問に思いますが、そこは多勢に無勢。一致団結したアリたちは、一瞬にして大きな敵を追い払います。

独ルール大学ボーフムの研究チームが、アリが敵の出現を短時間で察知し、防衛態勢を取ることができる理由を知りたいと考えました。論文は、雑誌「Current Biology」に掲載されています。

Acacia Ants Respond to Plant-Borne Vibrations Caused by Mammalian Browsers
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30009-0

最大の謎は「アリがどうやって敵が来たことにに気づくのか?」です。日中はさておき、視力が比較的弱いアリにとって、夜の暗闇の中で敵の来襲を見抜くのは至難の業。アリは化学物質の分散によって防衛反応を起こすことが分かっていますが、これには時間が掛かるだけでなく風の吹き方が大きく影響するため、情報源として信頼性に欠けます。

そこで研究チームは、科学的刺激よりも機械的刺激こそが鍵ではないかと考えました。基質振動の刺激の生産・分散・知覚と、生物に対するその影響を研究するこの新分野は、”biotremology”と呼ばれています。

風が生む振動と草食動物が生む振動を比較

アカシアの木を揺らすのは動物だけとは限りません。風もまた、木全体を揺らすほどの力を持っています。研究チームは、風が生む振動と、草食動物が生む振動を比較することにしました。草食動物の代表には、ヤギが選ばれました。

credit:Felix Hager

その結果、ヤギが引き起こす振動と風が引き起こす振動で、振動数に大きな違いがあることが判明。風の振動数の方が大きいことが分かりました。

アリはこの振動数の違いを認識しているようです。研究チームは、アリが葉がむしり取られる時の振動を注意刺激として知覚することをはっきりと示しました。

刺激を受けて守りの体制に入る

動物が生んだ振動に反応したアリは、活発に周辺パトロールを行いますが、木が風に揺れても同じ行動を取るわけではありません。動物が葉をむしり取る時の振動はとても強力なため、一瞬にして木全体に伝わります。木のあちこちに散らばっていたアリたちは、一瞬にしてその刺激を受けて、守りの体制に入ることができるというわけです。

さらにこの時、アリは振動源の方向も捉えることができるそう。刺激源の方向やその反対方向に体を向ける「転向走性」のおかげで、すぐに配置を整え、敵に立ち向かえるのです。

 

アカシアとアリの不思議な共生関係。合理的なギブ・アンド・テイク構造の上に成り立っている結びつきではありますが、大きな木とその懐に抱かれた小さなアリたちは、「振動」を頼りに、私たちの目には見えない友情を密かに育んでいるのかもしれません。

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reference: news.rub / translated & text by まりえってぃ

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