ブドウを電子レンジにかけるとプラズマが発生する仕組みが判明

science_technology 2019/02/19
Credit: sciencemag
Point
■薄皮一枚でつながった半分に割ったブドウを電子レンジに入れて激しく炎をあげる様子を撮影した動画がユーチューブに上がっている
■物理学者がこの現象に基づいた実験をサーモグラフィーで観察しながら行う
■プラズマによる発光は、皮がつながっていなくても起こることがわかったため、別の説明がなされる

火花バチバチですが、不仲というわけではないようです。

あるYoutuberが、ブドウからプラズマを作るという興味深い実験を行っています。動画では、ブドウを薄皮で一部つながった状態で、半分に切ったものを電子レンジにかけています。すると、なんと接続部にたちまち火花が起こるのです。

物理学者たちの研究で、なぜこの現象が起こるのかがついに明らかになりました。論文は「PNAS」で発表されています。

Linking plasma formation in grapes to microwave resonances of aqueous dimers
https://www.pnas.org/content/early/2019/02/13/1818350116

研究者の仮説では、以下のように説明されています。水分の多く含まれたブドウは、電子レンジのマイクロ波の波長と直径が近いため、マイクロ波のエネルギーを閉じ込めます。ブドウの電解液にエネルギーが帯電され始めると、つながった皮が電線のような働きをして一方から他方へと流れが生じ、電流が発生するだけのエネルギーを得ます。

そして電流は速やかに皮を燃え上がらせ、帯電した電解液はブドウの一方から他方へと飛び移ろうとします。また、周囲の空気を過度に帯電させることでプラズマができて光ります。プラズマとは、太陽光や蛍光が生じる原因となっている物質の状態のひとつです。

この仮説を確かめるために、研究者はブドウを2つ電子レンジに入れて、どの様な展開になるのかをサーモグラフィーで観察しました。すぐに、2つのブドウでも、その距離が3mm以内であればプラズマが発生することがわかりました。皮でつながった部分がなくてもプラズマが発生するならば、プラズマを生み出しているエネルギーは仮説とはことなった方法で生み出されていなければなりません。

ブドウの隙間で発生するプラズマ

サーモグラフィーによって、温度が高まる点が、ネットでの説明から予測されるようなブドウの内側ではなくて、電磁波のエネルギーによって形成されるブドウ同士の「間」であることが判明しました。

それによって新たな説明が可能となります。電子レンジ内部で互いに近い距離に設置された2つのブドウがあったとき、ブドウが吸収したマイクロ波は跳ね返ってブドウの間の小さな隙間で往復し、強力に電磁場を増強させます。この現象は電磁場が近くの電解液を過剰帯電させる程強くなるまで続き、熱いプラズマの爆発を短時間放出させるのです。

この研究は、電子レンジ内部を汚すだけでは終わらないと著者は述べています。適切な材料を使うことで、可視光を捕らえて集中させる用途に拡張することができれば、ナノサイズの顕微鏡へと応用できるのです。

 

手軽にできる実験ですが、ユーチューブに挙げられている動画を見た感じ、炎の上がり方が激しいため、試してみることはおすすめしません。というか、危険なので絶対にやらないでください。…ダチョウ倶楽部じゃないですよ!

「電子レンジに10週間」でダイヤモンドができる? 業界騒然の技術

reference: Science / written by SENPAI

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