目の「錯覚」はこうして起こる!円が勝手に回りだす「ピンナ錯視」のしくみ

brain 2019/03/12
Credit:JUNXIANG LUO

上の画像にある中心の黒点を見つめたまま、顔を前に近づけてみてください。サークルが時計回りに動き出しましたか?

今度は、黒点を見つめたまま、頭を後ろに引いてみてください。すると不思議なことに、サークルの動きが、反時計回りに変わると思います。こうした不思議な錯覚はなぜ起こるのでしょうか?

「全体」と「個別」の知覚にギャップがある

これは「ピンナ錯視(Pinna-Brelstaff illusion)」と呼ばれ、「視覚情報を処理する脳領域」の間に、伝達の遅れが生じることで起こる現象です。

中国科学アカデミーのイアン・アンドリーナ氏によると、この錯覚は「騒がしいパーティー会場の中で、話し相手の声だけをピックアップする感覚に似ている」とのこと。つまり、顔を近づけたり遠ざけたりする「頭の前後運動」が背景となる「騒音」で、実際に起こる「錯覚」がピックアップした「声」に相当します。

この錯覚は、人間の脳と近い構造を持つ「マカク」という猿においても生じました。そこで、イアン氏と研究チームは、マカクの脳に電極を差し込んで、錯覚がどのようにして起こるのかを詳しく観察しました。

すると、「サークル全体が動いていると錯覚するときの神経活動」では、「サークルを構成するダイヤの一個一個を知覚するときの神経活動(錯覚を感じていない場合)」よりも、15ミリ秒の遅れが生じていることが判明したのです。

脳は見るものを「勝手に」解釈する

ピンナ錯視。顔を近づけたり遠ざけるたりすると動いて見えるかも…/ Credit: araiweb.matrix

アンドリーナ氏は、人間の脳においても同じことが起こっていると指摘します。

私たちが物を見るとき、脳はそれが「何であるか」をすばやく推測しようとします。例えば、ダイヤの一個一個を見ながら、頭を前後に動かしても、錯覚は起きません。これは、脳がダイヤの形を正確に推測できているからです。

反対に、黒点を見ながら頭を前後に動かすと、視野に入ってくるサークル上の全ダイヤを処理できないために錯覚が起きます。要するに、脳は、処理しきれない部分を「サークルがぐるぐる回転している」という仮現運動に置き換えているのです。

また、錯視を起こすためには、ダイヤの形も重要な役割を果たしています。頭を前に動かすと、サークル自体の大きさは当然膨張して見えますが、ダイヤの端がそれぞれ斜線型になっていることで、サークルの全体は内側に収縮して見えるようになります。これと同様に、顔をサークルから引き離すとサークルは小さくなりますが、斜線の効果で今度は外向きに回転して見えてしまうのです。

このように、私たちはいつも何かをありのままに見ることができているとは限りません。というよりも、脳は見ているものを勝手に解釈してしまいます。雲の形が人の顔に見えたり、星の並びが動物の形に見えたりするのも「錯視」のひとつです。

他にも色々な錯覚がありますが、あまり熱中しすぎると酔ってしまうので注意してくださいね!

これ全部同じ色!? 絶対に脳が騙される「ムンカー錯視」がスゴイのでつくってみた

reference: newscientist , techxplore / written & text by くらのすけ

SHARE

TAG

brainの関連記事

RELATED ARTICLE