地球のご近所で4,000個以上の星から成る巨大な「星の川」を発見

space 2019/02/21
Credit: MoazAqeelChishti/CC BY-SA 4.0
Point
■4,000個以上の星から成る巨大な「星の川」が、地球からわずか326光年の位置で発見された
■ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」のデータから、ある星の集団が同時に動いていることが判明
■星の集団は、分裂途中の星団、つまり「星の川」の特性を備えており、10億年前に誕生したと推測

「灯台下暗し」とは、まさにこのことです。

4,000個以上の星から成る巨大な「星の川」が、新たに見つかりました。川を流れる星たちは、途方もない潮汐力の影響を受けて、お互いに引き離されつつあります。

特筆すべきは、この川が地球の「すぐご近所」で見つかったこと。地球からわずか326光年の距離に位置しているおかげで、私たちはこれまでにないほどの至近距離から、そのダイナミクスを観察することができます。ウィーン大学の研究チームによる論文は、雑誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されています。

Extended stellar systems in the solar neighborhood
II. Discovery of a nearby 120° stellar stream in Gaia DR2
https://www.aanda.org/articles/aa/abs/2019/02/aa34950-18/aa34950-18.html

驚くほどご近所さんだった「星の川」

近くにある星の川を見つけることは、干し草の山に埋もれた1本の針を探すようなもの。天文学者たちは長い間、その流れ自体を目にしてはいましたが、それが確かに「星の川」として存在し、しかもとてつもなく巨大であるばかりか、太陽に驚くほど近い距離に位置していることが明らかになったのは今回が初めてです。

星の川が「ホーム」である地球の近くで見つかったことは、とても好都合です。詳しく調べたい時に、ぼやけすぎたり、かすんで見えたりすることが無いので、これほど便利なことはありません。

星は、星が形成される分子雲「星のゆりかご」の中で、「星団」と呼ばれる群れを形成する傾向がありますが、星団は通常、数十万年を越えて存在することはありません。星団を1つにまとめるのに十分な重力を生むためには、莫大な質量が必要です。天の川の周囲を回る小さな銀河であっても、潮汐力によってばらばらに引き離され、やがてはその銀河の中心を周回する細長い星の川の流れに飲み込まれる可能性があります。

星の川の観測には、星同士の関連を知るために膨大な量の情報が必要ですが、それを可能にしたのがヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」でした。ガイアは、史上最も正確な銀河系立体地図を作れるだけでなく、星の移動速度を捉えることもできます。

約10億年前に誕生、4000個の星を含む

ガイアのデータを分析した研究チームは、ある星の集団が同時に動いていることに気づきました。詳しく調べたところ、この集団が分裂途中の星団、つまり「星の川」の特性を備えていることが判明したのです。

ガイアの感度は限られているため、詳細に分析できた星は200個のみでしたが、研究チームは星同士の相互作用を根拠に、星の川は少なくとも4,000個の星を含んでいると推測しています。川は、幅約652光年、長さ約1,305光年と、ビッグサイズです。

発見された星の川は、おうし座に位置する散開星団である「ヒアデス星団」と少し似ています。およそ6億2500万年前に誕生したヒアデス星団は、分裂の初期段階で見られる「潮汐の尾」と呼ばれる現象が観測されています。潮汐力は天体を引き伸ばすように働くため、銀河が接近して著しく変形すると、長い尻尾のような構造が形成されるのです。

研究チームは等時線のデータから、今回発見された星の川はヒアデス星団より古く、およそ10億年前に誕生したのではないかと推測しています。つまり、星の川が天の川の周囲をすでに4回転しており、それを考慮すれば潮汐力によってすでに細長く引き伸ばされていたとしても不思議ではないということです。

これまでに観測された天の川にある星の川のほとんどは、銀河円盤の外部を周回し、ずっと巨大です。ですが、今回見つかった星の川は、銀河円盤の内側に位置しているため、便利なツールになる可能性があります。たとえば、天の川の質量分布を特定したり、星が誕生する仕組みを知ったり、天の川の重力場を調べたりするのに活用できそうです。

 

研究チームは、引き続きガイアのデータの助けを借りながら、夜空に潜むさらに多くの星の川の存在を突き止めたいと考えています。

数十万もの新しい銀河が掃天観測で発見される

reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

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