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脳のニューロンが「ワイヤレス接続」を行うことが判明

biology 2019/02/22
Credit: Bryan Jones / Flicker
Point
■脳組織のある部分のニューロンから別の部分のニューロンへ、ワイヤレスで情報伝達が行われていることが判明
■ニューロンのゆっくりした周期的活動が電場を生むことで、付近の細胞を活性化する
■切り離した2つの脳組織片を近くに置くと、電場がその隙間を通ってニューロンを活性化する

脳の中で行われているニューロン同士の新たなコミュニケーションのかたちが明らかになりました。脳組織のある部分のニューロンは、別の部分のニューロンへなんと「ワイヤレス」で情報伝達が行われており、組織同士を外科的に切り離してもこのワイヤレス接続は可能なのだそう。

この説を発表したのは、米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のドミニク・ドゥランド氏ら。論文は、「The Journal of Physiology」に掲載されています。

Slow periodic activity in the longitudinal hippocampal slice can self‐propagate non‐synaptically by a mechanism consistent with ephaptic coupling
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/JP276904

従来とは別のメカニズム

この不思議なプロセスは、シナプス伝達、軸索輸送、ギャップ結合といった、従来理解されてきたメカニズムとはまったく別物で、脳内で行われるまったく新しいコミュニケーションの形式です。

脳内でニューロンがゆっくりと振動することは、以前から確認されています。この現象は、睡眠中に大脳皮質や海馬で観察されることから、記憶の固定において何らかの役割を担っていると仮定されていましたが、その理由は明らかになっていませんでした。

そこでドゥランド氏らは、この振動が生じる細胞間、また細胞内のメカニズムを解明するため、マウスの海馬を用いた実験を行いました。薄く切ったマウスの海馬を試験管に入れ、ニューロンの周期的活動と脳波を調べたのです。

その結果、ニューロンのゆっくりした周期的活動が電場を生むことで、付近の細胞を活性化することが判明。化学物質によるシナプス伝達やギャップ結合とは異なる、ニューロン同士のコミュニケーションが行われていたのです。しかも、微弱電場を加えることで、活動の強さを調節できることも分かりました。

離れていても電場で活性化するニューロン

もっとも驚くべきは、完全に切り離した2つの脳組織片を物理的に近い場所に置くと、電場がその隙間を通ってニューロンを活性化することでした。研究チームは、マウスの海馬のスライスが完全に切り離されていることを確実にするため、切り分けた2つの組織片を、外科用顕微鏡で見てはっきりと隙間が空いた状態に並べました。

この事実に驚愕したのは、ドゥランド氏らの研究チームだけではありません。この話を聞いた研究者の誰もが、度肝を抜かれました。

同じことがヒトの脳でも行われているかどうかを突き止めるにはさらなる調査が必要ですが、あらゆる点でショッキングな科学的事実が得られたことは間違いありません。

「睡眠中や睡眠に近い状態の時に、大脳皮質や海馬組織で自然に生まれるゆっくりとしたリズムと、今回発見されたコミュニケーションが関係しているかどうかはこれから調べることですが、おそらくはそのリズムが電場を生み出しているはずです」と、ドゥランド氏は語っています。

 

驚異的なニューロン同士の「無線コミュニケーション」。外からは見えない脳の内部で、目には見えない摩訶不思議なやりとりが行われているかもしれません。

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reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

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