なぜ? 救急搬送された男性の血液が「ミルク色」に変化する事件が発生

science_technology 2019/02/27
Credit: Copyright © 2019 American College of Physicians
Point
■救急搬送されたドイツ人男性から採取した血液が、ミルク色に変化した
■血中に含まれる脂肪分の数値が異常に高いことが原因で、一般的に「150mg/dL」が正常なところ、男性は「14,000mg/dL」を越えていた
■脂肪分をろ過する「プラスマフェレシス」に使用される機械を詰まらせてしまうほどの脂肪量なので、医師は「瀉血」という血液排出法を採った

上の画像は、哺乳瓶ではありません。ある男性から採取した血液が、突然ミルク色に変化したのです。一体彼に何が起きたのでしょうか?

医師が男性の血液サンプルを分析したところ、「トリアシルグリセロール」と呼ばれる脂肪酸の濃度が、異常に高いことが原因であると判明。しかし血液から脂肪を分離する一般的な手法でもまったく歯が立たないため、医師たちは異例の措置を取る事態となったようです。

手術の詳細な報告は、2月26日付けで「 Annals of Internal Medicine」上に掲載されています。

発覚した異常数値

男性はドイツ在住の39歳。ある日、頭痛と嘔吐症状を繰り返したのち、意識を失って病院に救急搬送されました。そして血液を採取してから2時間後に、容器内の血液がミルク色に変化したのです。

検査をしたコローニュ大学病院のフィリップ・ケーラー医師らは、「ミルク色に分離した部分はすべて脂肪で、ここまで深刻なケースは初めてだ」と説明しています。

通常トリアシルグリセロール濃度は150mg/dL以下が正常で、500mg/dL以上が危険水準とされています。しかしなんとこの男性は、14,000mg/dLを越える数値を記録していたのです。「トリアシルグリセロール」の数値は高いほど、膵臓の炎症を引き起こすリスクも急増します。この男性にも、膵臓炎の症状がはっきりと観察されていました。

さらに医師によると、男性の症状は、肥満と糖尿病、それから不摂生な食生活など複数の因子が絡みあっていたようです。結果、糖尿病とインスリンの枯渇などが重なって深刻化したとのこと。インスリンが欠乏してブドウ糖を燃料として活用することができないと、身体は脂肪を代わりにエネルギーに代替えします。

すると、体内の脂肪バランスが崩壊し、血中に酸が蓄積していくのです。これは「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれる酸性血症で、男性はこの症状も同時に引き起こしていました。糖尿病性ケトアシドーシスは、多尿や腹痛、嘔吐などを催し、悪化すると昏睡状態に陥り、最悪の場合、死に至ります。

こうしたトリアシルグリセロールの異常な高さによって生じる病気に対しては、一般的に、「プラスマフェレシス」と呼ばれる手法を取ります。これは、専用の機械を使って、血液から脂肪分をろ過するという方法です。

従来の方法ではムリ!瀉血を行う異例の事態

男性にも同様にこの措置が取られたのですが、血中の脂肪分が異常に高すぎて、機械が詰まってしまう事態が発生。そこで医師たちが切り替えたのが、異例の「瀉血(しゃけつ)」という血液を体外に排出する方法です。

まず男性の血液を1リットル抜き取り、代わりにドナーの健康的な血液を体内に注入します。そしてこの作業を複数回行なったところ、血中のトリアシルグリセロール濃度は無事下がっていきました。

2日後には、「プラスマフェレシス」の機械にも詰まらない程度に脂肪濃度を下げることができました。そして5日後には症状も緩和され、男性は一命を取り止めました。

「プラスマフェレシス」と「瀉血」の組み合わせ措置は世界初のことで、手術を行なったケーター医師とコハネク医師は、心臓血管を専門とする各国の医師たちから賞賛を受けています。

 

なんとも恐ろしい事件ですが、ここまでの事例はまずないとのこと。とりあえず牛乳は今まで通り飲めそうです。

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reference: livescience / written & text by くらのすけ

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