人の気持ちを理解できないのは遺伝子のせい?

science_technology 2018/03/13

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「人の気持ちがわからない」とお悩みの方。遺伝子のせいにできるかもしれません。

最新の研究によると、人間の共感能力が遺伝子による影響を受けている可能性があるというのです。

Genome-wide analyses of self-reported empathy: correlations with autism, schizophrenia, and anorexia nervosa

https://www.nature.com/articles/s41398-017-0082-6http://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fbul0000142

ケンブリッジ大学博士課程のヴァラン・ウォーリアーらの最新研究によると、10人に1人は共感能力について遺伝子の影響を受けていることがわかりました。

Translational Psychiatry” に掲載されたこの研究では、遺伝子関連企業 “23andMe” の4万6千人以上の顧客の協力を得て大規模な調査を実施。彼らはオンラインでEQテスト(共感能力測定テスト)を行い、遺伝子分析のため唾液のサンプルを提出しました。

その結果、3つの重大な事実がわかりました。

事実1:共感能力は遺伝により少なからず影響を受ける

実際に影響を受けているのは10人に1人の割合ですが、これは双子(一卵性双生児と二卵性双生児の両方)を用いた実験にて実証済みです。

事実2:女性は男性よりも共感能力が高い

注意すべきなのは、この差異は男女の遺伝子的な違いによるものではありません。つまり、ホルモンの影響であったり、社会的な役割の相違であったりと、後天的な理由によります。

事実3:低い共感能力に関連する遺伝子変異は、自閉症を引き起こすリスクが高い

この結論は、EQテストで自閉症の人が良い結果を出せないといった事実と一致しています。

Credit: Pixabay

「共感」とは2つの能力を指します。

1つは相手の考えや気持ちを理解する能力。もう1つはそれらを理解した上で、適切な受け答えをする能力です。

前者は「認知的共感性」、後者は「情緒的共感性」とよばれます。

15年前、ケンブリッジ大学の研究者チームが共感能力を測ることができる”EQ (Empathy Quotient)” を開発しました。EQは「共感」における2つの能力のどちらも測ることができます。

以前の研究では、中には共感能力の高い人もいて、また、一般的に女性の方が少しだけ男性よりも共感能力が高いとされていました。さらに、自閉症の人たちのEQは低いといった事実もあります。これは彼らの「認知的共感性」の低さによるもので、「情緒的共感性」には問題がありませんでした。

 研究チームの一員である、ケンブリッジ大学博士課程のヴァラン・ウォーリアーは、「この研究は、”遺伝子が共感能力にどう影響するか” といったことを理解するための、小さくても重要な一歩です。しかし、その影響を受けているのはたったの10人に1人であるということを忘れてはいけません。90%の人々の共感能力は、遺伝子でない別のものによって決まるといった事実を認識することもまた重要です」と語っています。
 

via: university of cambridge/ translated & text by Nazology staff

 

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