長時間労働による悪影響は男女で異なることが判明

life 2019/02/28
Credit: photo ac
Point
■女性は男性よりも長時間労働の悪影響を受けやすい
■週末に働くことによる悪影響は男女差が無いが、男性は心理社会的労働条件に満足していない場合にのみ出る
■長時間労働を行う女性は男性中心の業界で働き、週末に働く女性は低賃金・重労働の仕事に従事している可能性

過度な残業や週末の労働。こうした労働環境が私たちの幸福や健康に影響をもたらすことは、驚きではありません。

英国で行われた最近の調査で、長時間労働が与える影響が男女で異なることが明らかになりました。それによると、女性は男性よりも長時間労働の悪影響を受けやすいそう。また、多くの人が休息を取る週末に働くことによる悪影響は男女差が無いものの、その現れ方が異なるようです。

24時間年中無休の経済活動を、個々最近支え始めている「ギグ・エコノミー」。インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態を指します。働き方の変化にともなって、私たちが「通常の業務時間外で」働く傾向はますます高まっています。

この変化が健康にもたらす影響を小さくないと考えたユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームが、その実態を調べることにしました。論文は、「Journal of Epidemiology & Community Health」に掲載されています。

Long work hours, weekend working and depressive symptoms in men and women: findings from a UK population-based study
https://jech.bmj.com/content/early/2019/02/08/jech-2018-211309

研究チームは、2010〜2012年に行われたイギリス世帯縦断調査のデータ(男性11,215名・女性12,188名分)を分析。その結果、男性は女性より長く働く傾向があり、男性の半数が標準労働時間(週に35〜40時間)を超えて働いていることが明らかになりました。一方で、標準的労働時間を超えて働く女性は全体の4分の1未満で、半数がパートタイムで働いていることが分かりました。パートタイム率が15パーセントの男性と比べれば、差は歴然です。

また、心理的苦痛を計測するアンケートの結果を見たところ、週に55時間以上働く女性や、多くの週末を仕事に費やす女性は、フルタイムであったとしても、より労働時間が短い女性やパートタイムで働く女性と比べて、うつ症状が現れる確率が著しく高いことが判明しました。これに対し、男性はかなりの長時間労働を行う人でもうつ症状の顕著な増加が見られませんでした。

教育レベル、配偶者・子どもの有無、肉体労働の程度、慢性疾患の有無といった他の因子も考慮に入れたところ、子どもを持つ女性はキャリア上の障害や収入減といったデメリットがあったとしてもパートタイムを選択する傾向が高いことが判明。男性はその逆で、結婚して子どもを持つと、さらに長時間労働に従事する傾向が強まることが分かったのです。

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また、男性の3分の2、女性の半数が、週末にも働くことが明らかに。週末の労働は、男女ともに健康への悪影響をもたらしていましたが、男性の場合は心理社会的労働条件に満足していない場合(たとえば、給料や仕事内容などに不満を感じている場合)に限られました。

研究チームは、かなりの長時間労働を行う女性は、男性中心の業界で働き、週末に働く女性は、公共交通機関・清掃・介護といった比較的低賃金できつい仕事に従事しているのではないかという仮説を立てました。

一方、ここで考慮されていない労働、つまり家事や子育てにも注意を向けることが重要です。過去の研究では、家事や子育てなどの賃金が発生しない労働を含めれば、女性が男性より長時間働いていること、またそれが女性の健康に悪影響を与えていることが分かっています。

職場での長時間労働をやっと終えて帰宅できたかと思ったら、家事だけでなく、子どもの世話や宿題の手伝いに追われる女性はたくさん。研究チームは、こうした「見えない労働」にも焦点を当てた研究を、今後行いたいと考えています。

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reference: qz / translated & text by まりえってぃ

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