見えないはずの赤外線光が見える!マウスの目に特殊ナノ粒子を注射して視覚を改造する新技術が誕生

technology 2019/03/01
Credit: pixabay
Point
■マウスの視覚を拡張し、赤外光と可視光の両方を見えるようにすることに成功
■赤外光の長い波長を吸収し、波長の短い可視光に変換する特殊なナノ粒子でできた注射液を与えることで実現
■ヒトへの応用が実現化されれば、暗号化、安全保障、軍事など、活用の範囲は幅広い

2000年に公開されたSF映画『ピッチ・ブラック』は、獄中で受けた特殊な手術によって夜目が効く殺人犯の主人公が、その超人的パワーを使い、無人の星に現れた肉食エイリアンに立ち向かう物語です。

フィクションとしか思えないこの超能力ですが、まもなく実現化するかもしれません。中国科学技術大学とマサチューセッツ・メディカル・スクール大学の共同チームが、特殊なナノ粒子を注射することで、マウスの視覚を拡張し、赤外光と可視光の両方を見えるようにすることに成功しました。論文は、雑誌「Cell」に掲載されましています。

Mammalian Near-Infrared Image Vision through Injectable and Self-Powered Retinal Nanoantennae
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)30101-1

モノが見える仕組み

ヒトやマウスといった動物の多くは、「可視光」と呼ばれるある範囲の波長の光しか目で見ることができません。この範囲から外れた波長は、暗視ゴーグルなどの特殊装置を使えば捉えることができます。

そもそも、私たちが物を見ることができるのは、瞳に入った光が網膜にぶつかる際に、杆錐状体層(光受容細胞)が可視光の光子を吸収し、それに反応して電子信号を脳へ送るからです。光受容体は、赤外光の長い波長を吸収することができないため、私たちは赤外光を見ることができません。

波長を長さを変える特殊ナノ粒子がスゴイ

Credit: cell

研究チームが用いた注射液は、赤外光変換器として作用する、光受容体細胞に接続されたナノ粒子で出来ています。このナノ粒子は、赤外光の長い波長を吸収し、それを波長の短い可視光として放出するよう設計されています。放出された可視光を吸収した光受容体は、脳へ信号を送ります。

研究チームによると、ナノ粒子は、波長約980ナノメートルの赤外光を吸収し、最短で波長535ナノメートルの可視光に変換するそう。その時、赤外光は緑色に見えます。

暗闇の中で物を見る力を動物に与えるこの新技術。今後、ヒトへの応用が実現化されれば、その可能性は無限大です。暗号化、安全保障、軍事など、活用の範囲は幅広いです。

 

「自然が課した限界を超えたい」という人間の願いが叶い、子どもの頃に読んだSFの世界が現実になる日は、すぐそこまで来ているのかも!?ワクワクしますね〜。

まるでSFの世界。ウミウシ間で「記憶の移植」に成功

reference: outerplaces / translated & text by まりえってぃ

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