6700光年先の銀河で「スーパーバブル」の衝撃波を発見!まるで粒子加速器?

space 2019/03/05
Credit: X-ray: NASA/CXC/University of Michigan/J-T Li et al.; Optical: NASA/STScI
Point
■天の川銀河には、極の上下に泡状の構造が発見されていて、「フェルミバブル」と呼ばれている
■6700万光年の銀河にも同様の「ニュークリア・スーパーバブル」があり、チャンドラによるX線観測で粒子加速器で見られるような高エネルギーのX線が見つかる
■謎とされていた宇宙線の線源が、フェルミバブルで加速された粒子である可能性

これは夢も膨らむ…!6700万光年にある銀河が、巨大な泡を膨らませているようです。

「ニュークリア・スーパーバブル」と呼ばれるこの泡は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールによって生み出されています。新たなデータから、その内部ですごいことが起きていることがわかりました。なんと、巨大な加速器のように働いているというのです。研究は「The Astrophysical Journal」で発表されています。

Detection of Nonthermal Hard X-Ray Emission from the “Fermi Bubble” in an External Galaxy
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab010a

天の川のフェルミバブルと発見されたスーパーバブル

泡が発見されたのは、NGC 3079と名付けられた銀河。チャンドラX線観測衛星による観測で泡の正体がわかった可能性かもしれません。

ニュークリア・スーパーバブルは、天の川銀河の持つフェルミバブルが若くなったものです。この泡ができるのは、銀河の中央の超大質量ブラックホールが物質を貪るときであると考えられています。

ブラックホールが物質を飲み込む時、その両極で、非常に強力なプラズマのジェットが光速に近いスピードで放出されます。その仕組はまだよくわかっていませんが、降着円盤内側の物質がブラックホールの外に出来た磁場を介して、極へと流れていって打ち上げられるものと考えられています。

そして仮説は、ジェットが宇宙空間へと打ち上げられ、銀河平面の上と下に巨大な空洞を生み出すと説明。天の川銀河のフェルミバブルの大きさは、5万光年もあるので、物質が飲み込まれたのは昔のことです。NGC 3079はそれに比べると小さく、一方が4,900光年、もう一つが3,600光年であり、おそらく若いものでしょう。

また、遠くにあることから全体像を把握しやすいという利点もあります。若いことと合わせて、泡の進化についての理解を深めることができるのです。

粒子加速器で見られるような高エネルギーX線を発見

研究者はチャンドラのデータに当たることで、奇妙なシンクロトロン放射のような高エネルギーX線を発見しました。つまり、巨大な粒子加速装置がそこにあるというのです。これは銀河バブルからシンクロトロン放射の直接の証拠が見つかった最初の例です。しかし、奇妙なことに小さな方の泡でしか見つかっていません。

泡が拡大して周りを取り巻く星間物質のガスに到達すると、衝撃波がうまれ、続いて絡まった磁場ができます。粒子はこの衝撃波と磁場の間を跳ね回り、衝撃波の前線に達すると爆発的に加速します。

CERNの粒子加速器内部 / Credit: erdekesvilag

この泡に出来た加速器の能力は、大型ハドロン衝突型加速器の100倍以上です。もしこれが起こっているとすれば、もう一つの現象の解けたことになります。それは宇宙線です。宇宙線の源については、天の川銀河の外側であるということしか、現在わかっていません。

もしフェルミバブルが粒子加速器として働いており、そこから加速した高エネルギーの粒子が逃げ出しているとすれば、それらが宇宙線となって地球に到達している可能性があるのです。

ですが、この説明も多くの仮定を元にしています。また、泡を作っているのがブラックホールであるという確証もありません。もしかしたら生まれたての星が強力な恒星風を発しているだけなのかもしれないのです。

 

明確な答えを得るには、さらなる研究が必要となるでしょう。銀河の泡と宇宙線の謎を同時に説明できる、天然の粒子加速器は本当にあるのでしょうか?今後の研究に期待です。

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reference: Science Alert / written by SENPAI

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