アドレナリン爆発!あえて「恐怖体験」を欲する人の脳は風変わり?

psychology 2019/03/05
Credit: Pixabay
Point
■人に生まれつき備わる「恐怖」は、「高所からの落下」と「大きい音」である
■「恐怖」に直面した脳は、「感覚的ルート」と「合理的ルート」との組み合わせで機能する
■「恐怖」を求める人は、「ドーパミン」の発生が活発であり、「合理的ルート」の働きが強くなる

「恐怖」を欲する人の脳は、ちょっと風変わりかもしれません。

少女の首が180度グリン!となる『エクソシスト』や浴槽から怪物フレディーの爪がニョキッと出てくる『エルム街の悪夢』など、ホラー映画をこよなく愛する人は世の中に数多くいます。

怖がりな人からすれば理解不能かもしれませんが、スリルを求める人の脳には、一般の人とは少し違う働きが見られるのです。しかし、こうした「恐怖」を感じることの裏側には、一体どのようなメカニズムが隠されているのでしょうか。

人間に生まれつき備わっている恐怖

人間には、生まれつき備わっている「恐怖」が2種類あります。1つは「高い所から落ちる恐怖」、もう1つは「大きな音への恐怖」です。

1つ目の「恐怖」は、1960年に行われた「visual cliff実験」で証明されたものです。生後6〜14ヶ月の乳児を対象にした「深淵知覚」についての実験で、まず、乳児は少し高めに設定された木製の台の上に乗せられます。

台の半分は、頑丈なアクリル樹脂の板で出来ていて、台の下が透けて見えるようになっています。台の端にいる母親のもとにたどり着くには、透明の板の部分を通らなければなりません。

しかし、アクリル板の方に踏み出す乳児は一人もいなかったのです。こうして「落ちることへの恐怖」は、命を守るために備えられた本能であることが証明されました。

2つ目の「大きな音への恐怖」は、エモリー大学の神経学者であるセス・ノーホルム氏によって発見されました。これは「聴覚驚愕反射(=acoustic startle reflex)」と呼ばれ、人は、近くで銃声やヘリのフライト音を聞いたら、頭を抱え込むようにして下げる反射的運動を行うのです。

こうした「大きな音」が「防衛姿勢」に直結する回路は、同氏によると、先天的なものであると考えられています。

それでも、この2つ以外に感じる「恐怖」は、学習されたものがほとんどです。「自然的恐怖」と呼ばれる、暗闇や動物への恐怖は、生まれた後の経験の中で獲得されます。

人間が、幽霊や骸骨、毒グモに対して恐怖を持つのは、幼少期の体験や親の教え、自分が所属する文化に影響を受けて、植えつけられるものなのです。

恐怖に対する脳の反応

それでは、「恐怖」に直面したとき、人の脳はどのように反応するのでしょうか。

まずもって、私たちの脳は、個々に別れた2つのルートの組み合わせで働きます。1つは、「感覚的ルート」で、扁桃体という感覚系の脳領域で起こるものです。その領域内に、目や耳で知覚したものに反応して「恐怖」感覚のシグナルが出されます。すると、心拍数の上昇や発汗作用の活発化が促されるのです。

それとほぼ同時に、2つ目の「合理的ルート」である大脳皮質の上部で、知覚したものが「危険であるか否か」の判断を行います。つまり、「このヘビは毒性がないから安全だ」などというように、合理的に解釈をするのです。

「恐怖」の感情は、この2ルートの作用で生じ、アメリカにあるパデュー大学のグレン・スパークス教授の研究では、恐怖を求める人の方が、「合理的ルート」の働きが活発であることが判明しています。

恐怖を求める人の脳内では、報酬系をコントロールする「ドーパミン」が多く発生します。いわゆる「アドレナリン」が人よりも多く分泌されるので、さらにホラー映画や絶叫マシーンを好むようになるのです。

そして、スパークス教授は「スリル体験が積み重ねられる程、人は恐怖感情に慣れていき、合理的な解釈をほどこすようになる」と指摘します。そこでまた、スリルを求める行為は過激化していくのです。

 

このように「恐怖」には、慣れることも可能ですが、「恐がる」ことは、人間の生存にとって必要不可欠であります。天敵や自然災害など、命を脅かす危険性のあるものを識別する「適応行動」として、重要な能力なのです。

なぜ笑顔が「怖い」と感じることがあるのか?

reference: edition.cnn / written & text by くらのすけ

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