排泄時にだけ現れる謎の「肛門」を持つ生物が発見される

animals_plants 2019/03/07
Credit:insider.si.edu
Point
■「ムネミオプシス・レイディ」という生物は、排便時にのみ現れる、不思議な「肛門」を持っている
■排泄物が肛門付近に溜まることで、「肛門」が開き始める
■「ムネミオプシス・レイディ」の排泄リズムは決まっており、幼生で10分に1回、大人で1時間に1回の割合に固定している

なにそれ…。神隠しのごとく現れては消える、摩訶不思議な「肛門」を持った生物がみつかったようです。

「ムネミオプシス・レイディ」という生物の肛門は、排便時にのみ開き、終われば跡形もなく閉じることが判明しました。しかも「ムネミオプシス・レイディ」は、最古の系統樹に属しており、肛門を持った最初の生物である可能性もあります。

研究の詳細は、2月22日付けで「Invertebrate Biology」上に掲載されています。

Defecation by the ctenophore Mnemiopsis leidyi occurs with an ultradian rhythm through a single transient anal pore
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/ivb.12236#accessDenialLayout

最古の海洋生物「ムネミオプシス・レイディ」とは…

「ムネミオプシス・レイディ」は、「有櫛(ゆうしつ)動物」と呼ばれる海中の無脊椎動物の1種で、クラゲに似た無色透明の生物です。ただ、クラゲ類は「刺胞動物」と呼ばれるグループなので、正確に言うとクラゲではありません。

両者の祖先は共通しており、およそ5億2500万年前に栄えた「カンブリア紀」にまで遡ります。「カンブリア紀」は、多種多様な生物が一挙に誕生したいわゆる「カンブリア爆発」の起こった時期。

つまり「ムネミオプシス・レイディ」は海洋の無脊椎動物群でも最古の部類に属するのです。

祖先は一緒ですが、「ムネミオプシス・レイディ」とクラゲには、大きな違いがあります。それは、クラゲが食事と排泄を同じ1つの口で行うのに対し、「ムネミオプシス・レイディ」は、口と別の場所に排泄口を持っているということです。

ただこの排泄口は、使用時以外は開かずの扉状態になっており、これまでその排泄メカニズムは謎でした。

排泄のメカニズム

しかしシカゴ大学の海洋生物学者であるシドニー・タム氏の研究により、排泄の仕組みが明らかになってきました。

タム氏は、「ムネミオプシス・レイディ」の透明な体内を観察するために、「微分干渉顕微鏡」という透明の物質のコントラストを高めて可視化できる特殊な器具を使用しました。

すると、「ムネミオプシス・レイディ」の肛門は、排泄時にのみ現れることが判明したのです。排泄物がこの生物の体内経路を通ると、肛門付近に蓄積します。そして、膨らんだ体内からの圧力によって肛門が開口し、そこから、体表面が圧縮することで、排泄物がポンッと体外に排出されるのです。

排泄後に入口がなくなる肛門は異例で、タム氏によると、「ムネミオプシス・レイディ」以外には存在していません。

排便スケジュールは決まっている⁈

また、「ムネミオプシス・レイディ」の排便には、体のサイズに合わせた厳密なルールがあることが分かりました。

まだ幼生で比較的小さな個体は、およそ10分に1回の割合で、5〜10cmほどの大人の個体は、1時間に1回の割合で必ず排便を行うのです。タム氏は「この生物には、排便を促すための外部刺激がないため、独自の体内時計を使って排便を行なっているのでしょう」と推測しています。

Credit:insider.si.edu

さらに、「ムネミオプシス・レイディ」の排便メカニズムの解明により、肛門に関する進化論の定説も覆る可能性があります。

一般的に、生物は、「食事と排泄を同じ穴で行うグループ」と「口と別にもう1つ肛門を持つグループ」に分けられます。肛門は、当初口しか持たなかった生物が、長い期間をかけて、消化管を複雑化させた結果出来上がったものです。

そして、肛門を持つ生物の誕生は、カンブリア紀よりもっと後の時代であるはずでした。要するに、「ムネミオプシス・レイディ」が口とは別に肛門を持っていることは驚くべき事実であり、生物として初めて肛門を持った可能性があるのです。

 

タム氏は「この生物が、肛門のない生物と肛門を持つ生物との間に存在するミッシングリンクであるかもしれない」と指摘し、さらなる研究を進めています。

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reference: motherboardinsider.si.edu / written & text by くらのすけ

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