インターネットは自然を映す鏡?Wikipedia上の閲覧記録は自然界のリズムと連動していた

animals_plants 2019/03/08
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Point
■インターネットの使われ方が、自然界のパターンやリズムと強く結びついていることが判明
■ウィキペディアの閲覧記録を分析したところ、生物に対する関心の表れ方に、季節的な傾向や変動があることがわかった
■特定の生物に関するインターネットの活動から、その生物がいつどれくらい生息するかという変化を予測できる

インターネットと自然。一見無関係のように見えるこの2つの世界ですが、実は密接につながっているようです。

オックスフォード大学などの国際研究チームは、私たちのインターネットの使い方が自然界のパターンやリズムと強く結びついていることをつきとめました。この発見は地球規模で生物の多様な変化を捉える新しい方法を生み出すかもしれません。

また人々が自然に注意を向けるタイミングや、効果的に保護すべき生物や地域を特定するのにも役立つかもしれません。論文は、雑誌「PLOS Biology」に掲載されています。

A season for all things: Phenological imprints in Wikipedia usage and their relevance to conservation
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3000146

研究チームが用いたのは、ウィキペディアの閲覧記録。インターネット上で、人々の生物への関心が季節のパターンと一致しているか調べるために、3年近くにわたり245言語、31,715種の動植物を対象に、23億3千万件の閲覧記録を分析しました。

その結果、ウィキペディア上の生物に対する関心の表れ方に、季節的な傾向があることが判明しました。また、対象となった動植物の4分の1以上のアクセス数にも、季節によって変動があることがわかりました。

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このことからチームは、インターネット活動の量と時期から、物の生息状況や生息時期を正確に測れると結論。つまり、特定の生物を対象にしたインターネットの活動量を見ることで、その生物の生息の変化を予測できるというわけです。

季節的な変動だけでなく地域的な傾向も

さらに面白い傾向もいくつか見つかりました。ウィキペディアの閲覧状況には、生物そのものの季節パターンがしばしば反映されます。花を付ける植物に関するページには、はっきりとした開花時期を持たない針葉樹などの植物と比べて季節的傾向が現れやすいことなどがよい例です。

また、言語によっても地域的な傾向が浮き彫りになりました。高緯度地域で話されるフィンランド語・ノルウェー語などのページは、低緯度地域で話されるタイ語・インドネシア語などのページと比べて、季節的な関心が強く現れました。これは、低緯度地域は季節の変化が少なく、高緯度地域は季節の変化が大きいからです。

加えて、季節パターンが文化行事に反応する例も。たとえば、英語版の「七面鳥」のページの閲覧数は、米国の感謝祭や春の狩りシーズンになると毎年急増します。

こうしたパターンから、人々のオンライン活動が自然界の現象に結びついていることが浮かび上がります。それは、自然と人間の距離が遠ざかろうとしている現代でも、人々が自然界に関心を向けていることを、教えてくれます。自然保護の観点からも希望が持てる話です。

データを自然保護に有効活用できるかも

研究チームは、こうしたビッグデータのアプローチを使えば、「世界の環境はどのように変化している?もっとも変化している生物は何?そのことを一番気にかけ、力になってくれる人は?」といった、自然保護における重要な解決策に効率よくたどり着けるかもしれません。

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この方法は、保護の対象となる生物や地域を特定する際に大きなメリットとなるでしょう。特定の生物への関心が増える時期が特定できれば、保護活動の資金調達のキャンペーンをいつどのように始めるべきかが予測できる…。そんなことも可能になります。

人間も自然の一部であることを考えれば、その人間が作り出したネットの世界が、自然界を映し出す写し鏡だったとしても不思議ではありませんね。

Wikipediaを月に送る計画が進行中

reference: sciencedaily / translated & text by まりえってぃ

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