他人のストレスは伝染するだけでなく、脳を細胞レベルで変えてしまうことが発覚

science_technology 2018/03/19

this is how they all look to me

他人がイライラしている場面に遭遇しても、「少し我慢するだけ」と軽く考えていませんか?

カナダ、カルガリー大学のジェイディープ・ベインズ博士らのマウスを使った最新研究によると、他人のストレスは伝染するだけでなく、自分の脳を細胞レベルで変えてしまうといった衝撃的な事実が発表されました。

Social transmission and buffering of synaptic changes after stress
https://www.nature.com/articles/s41593-017-0044-6

 

「近年の研究によりストレスや感情が “伝染” することがわかってきました。ストレスが原因の脳の変化は、PTSDやうつ病を含む多くの精神障害を引き起こします」とベインズ博士は語ります。

実験では、ペアのマウス(オス・メス)が使用されました。マウスを一匹ペアから引き離し、ストレスを与えた後でパートナーのもとに戻しました。その後、脳へのストレス反応をコントロールしている “CRHニューロン” と呼ばれる細胞群を調べた結果、ストレスを与えたマウスだけでなく、そのパートナーも同じように脳が変化していることがわかりました。

Credit: Pixabay

次に、研究チームは「光遺伝学」を使ったアプローチに取り組みました。これにより “CRHニューロン” を、光を用いることで意図的に操ることができます。マウスがストレスを受けたとき、”CRHニューロン” を活動させなかった場合は、脳の変化は起こりませんでした。また、ストレスを受けたマウスとそのパートナーが交流する際に、パートナーの “CRHニューロン” を活動させなかった場合も同様に、ストレスはパートナーに伝染しませんでした。しかし驚くべきことに、実際にストレスを受けたマウスとそうでないパートナーのどちらか一方の “CRHニューロン” を活動させた場合、両者の脳は変化を起こしたのです。

これにより、研究チームは “CRHニューロン” を活性化させることで、マウスがパートナーに「警告フェロモン」を発するということを発見しました。「警告フェロモン」を察知したパートナーは、群れの他の個体に同じフェロモンを発します。この伝達は、多くの種が集団として活動していくうえで重要なメカニズムとされています。

ベインズ博士はこれらの発見が人間にも当てはまることを示唆し、「無意識的にせよ、私たちは簡単に感情やストレスを伝染させてしまいます。しかし逆に、人の気持ちを積極的に汲み取ってあげることは社会的な絆を育んでいく上で重要でもあります」と語っています。

 

「ストレスが伝染する」と聞くとネガティブな響きですが、それは周囲の人がストレスに悩む人に気づいてあげるための優しい仕組みなのかも…。

 

via: sciencedaily/ translated & text by Nazology staff

 

関連記事

会社勤めにサヨウナラ。自営業のほうが幸せを感じることが判明

やはり日本語はヤバかった。 世界の言語難易度ランキング(英語圏)

「愛」を楽譜に込めた男。音楽によって暗号化されたメッセージ

謎だった「回る卵が起き上がる現象」が解明されたので、実際にやってみた

 

SHARE

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE